1979年から放送されている老若男女日本人なら誰もが知っている国民的アニメ「ドラえもん」が、全米デビューしました。世界35カ国と地域で放送されていますが、意外にも英語版は初。これまでの海外版はオリジナルの日本版に字幕や吹き替えを加えるだけだったようですが、今回のアメリカ版はアメリカの視聴者に受け入れられるように文化や社会基準などをアメリカナイズさせたローカライズ版。05年4月よりテレビ朝日系で放送されているシリーズから厳選された26話が放送されるとのことですが、さっそく気になるその内容をチェックしてみました。

 放送は日本の特撮テレビドラマシリーズ「パワーレンジャー」などをOAしているディズニーの男子向けチャンネルディズニーXD局というアニメ専門チャンネル。タイトルは「Doraemon ガジェット・キャット・フロム・フューチャー(未来から来たガジェット猫)」。ドラえもん以外の気になるメインキャラクターの名前は、のび太はNoby(ノビー)、しずかちゃんはShizukaだが呼び名はSuzy(スージー)、ジャイアンはBig G(ビッグ・ジー)、スネ夫はSneech(スニーチ)とアメリカ人にも親しみやすい名前になっています。ドラえもんの秘密道具はどうでしょう。どこでもドアはAnywhere Door、タケコプターはHooper、暗記パンはMemorize Bread。ちなみに、アメリカにはないドラえもんの好物どら焼きは、Yammy Bun(美味しいバンズ)に。

 名前だけではありません。文化だってアメリカ使用です。例えば食事のシーンでは、箸の替わりにフォーク、お金はドル紙幣、石焼き芋の屋台はポップコーンの移動販売車、テストの点数には落第を意味する「F」の文字、ドラえもんがピザを食べたり・・・と言った具合。また、子供の肥満が深刻な社会問題となっているアメリカらしく、ドラえもんがどら焼きをたくさんほおばるシーンは短縮するなど、細部にわたるまで日本では見られない内容となっています。

 放送するのが、子供向けチャンネルのディズニーなので、今後も暴力や性描写などはある程度修正される可能性がありますが、基本のストーリーなどは手が加えられておらず、アメリカのリメイク版ではないので子供の頃からドラえもんに親しんできた者としては一安心。ただ、ネットなどでは、成績も悪くて運動神経もないのび太のキャラクターはアメリカでは受け入れられないと言う内容が書かれてありましたので、今後どこまでドラえもんが子供たちに浸透していくのかは気になるところ。98年に初上陸し、翌99年に映画版が上映されて全米で大ブレイクした「ポケットモンスター(通称ポケモン)」が記憶に新しいですが、果たして「ドラえもん」がピカチューになれる日が来るのでしょうか?!

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