「カロリー制限」は、非効率で残念なダイエット。トーストだけを食べるより、トーストにバターをたっぷり塗ったほうが、減量効果があるんです。嘘みたいな本当の話。

ダイエット編6「カロリーとダイエット」

 【前回までのあらすじ】 トーク編と併行して連載中のダイエット編。ゆるやかな糖質制限「ロカボ」(注1)に出会ってから、おなかいっぱい食べて、楽しくダイエットを継続中です。

都内某レストランで、唐揚げをほおばる五戸です。カロリーは気にせず、お肉はしっかり食べます。「美味しっ」(2017年4月)
都内某レストランで、唐揚げをほおばる五戸です。カロリーは気にせず、お肉はしっかり食べます。「美味しっ」(2017年4月)

 ロカボの名付け親で、北里研究所病院糖尿病センター長で医学博士、「一般社団法人 食・楽・健康協会」代表理事の山田悟先生の著書「ロカボで食べるとやせていく」(幻冬舎)と、山田先生監修の新刊『世にも美味しい「ゆるやかな糖質制限ダイエット」』(世界文化社)を参考図書に、北里研究所病院で山田先生に取材した内容を、以下にまとめます。

カロリー制限で血糖値は下がらない

 食後の血糖値をいかに上げないようにするかがダイエットである、というのは第5回で記載の通り(4月27日更新)。カロリー制限よりも糖質制限のほうが減量効果がある、というのは第2回(4月6日更新)に詳しく書きました。今回は、血糖値を下げる食事は、カロリー制限ではない、というお話です。

最近の自炊。ラタトゥイユとサラダ。ラタトゥイユは鶏肉たっぷり。おかわりもしちゃいます(2017年4月)
最近の自炊。ラタトゥイユとサラダ。ラタトゥイユは鶏肉たっぷり。おかわりもしちゃいます(2017年4月)

食事パターンで比較する食後血糖値

 三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)を組み合わせた食事パターンの、食後血糖値の上がり方を観察した研究があります。(2014年、イギリスの栄養学誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション』より)

 比較した食事パターンは以下の通り

<1>(主食のみ)白米200g(338kcal)

<2>(主食+主菜)白米200g+木綿豆腐+ゆで卵(486kcal)

<3>(主食+主菜+油脂)白米200g+木綿豆腐+ゆで卵+マヨネーズ(573kcal)

<4>(主食+主菜+油脂+野菜)白米200g+木綿豆腐+ゆで卵+マヨネーズ+ほうれん草・ブロッコリー(604kcal)

 一番カロリーが高いのは<4>、一番低いのは<1>です。食後30分の血糖値が最も高かった(=最も太りやすい)のは、どの食事パターンだと思いますか? これまでの考え方だと、<4>が一番太ると思いますよね。

カロリー増で血糖値が下がる

 研究結果は、全くの逆でした。食後血糖値が一番上がったのは、白米だけを食べた<1>だったんです。次に上がったのが、白米と一緒に主菜(=たんぱく質)を食べた<2>の食事。それに油を足した<3>の食事のほうが血糖値が上がりにくく、さらに野菜を足した<4>の食事が最も血糖値を上げなかった、という結果になりました。

 つまり、カロリー摂取が増えれば増えるほど、血糖値は上がらなくなる…カロリー制限で血糖値はコントロールできないんです。カロリーを増やして、血糖値の上昇を抑制するほうが良い、というわけです。

大好きなラーメンは、麺を半分にして、味玉とチャーシューをトッピング(2017年3月、都内某ラーメン店で)
大好きなラーメンは、麺を半分にして、味玉とチャーシューをトッピング(2017年3月、都内某ラーメン店で)

糖質単品食べが一番ダメ

 また、糖質を単品で食べるのが一番血糖値が上がる、ということも言えます。糖質をとる時は、たんぱく質も脂質も食物繊維も一緒に摂ったほうが血糖値が上がりにくい、ということ。

 つまり、白米だけを食べるより、チャーハンにしたほうが痩せますし、ラーメンを食べるならチャーシューや味玉を足したほうが良いですし、冒頭でお伝えした通り、トーストだけよりも、バターをたっぷり塗ったほうが痩せる、ということです。

消える「カロリー制限」

 痩せたかったら、カロリーを控えなければならない、という考え方は昔からありました。そして今、消えようとしています。

北里研究所病院で山田悟先生にダイエットのこと、血糖値のこと、ロカボのこと、アメリカの医学書のことなどなどたくさんお話していただきました
北里研究所病院で山田悟先生にダイエットのこと、血糖値のこと、ロカボのこと、アメリカの医学書のことなどなどたくさんお話していただきました

 山田先生に「食事をカロリーで表すこと自体に、無理がある気がしてきたんですが…」とお伝えしたことがあるんですが、「その通りだと思います」とおっしゃっていました。(次回ダイエット編は第7回「おなかが空いたら食べていい」です)

本日のごのへの・ご・ろ・く

今やもう カロリー表示は ナンセンス

 (注1)「ロカボ」は“ローカーボハイドレート”の略で、“ロー(低い)+カーボハイドレート(糖質)”のこと。1食の糖質摂取を20g~40g、一日70g~130gにする、ゆるやかな糖質制限です。

 ◆山田悟(やまだ・さとる) 1970年、東京生まれ。1994年慶應義塾大学医学部卒業。2002年から北里大学北里研究所病院勤務。同病院医療連携室室長、糖尿病センター長、医学博士。一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立、代表理事を務める。日本における糖質制限の第一人者。「ロカボ」の名付け親。「糖質制限の真実」(幻冬舎)をはじめたくさんの書籍を出版、メディアにも数多く登場。