劇団102年は、シェークスピア没後400年メモリアル作品で幕を開けた。宙組公演「ミュージカル Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~」「ダイナミック・ショー HOT EYES!!」。宙組トップ朝夏まなとはシェークスピアを熱演し、全場(面)大階段の熱いショーに臨んでいる。兵庫・宝塚大劇場は2月1日まで、東京宝塚劇場は2月19日~3月27日まで。

 タカラヅカ新世紀2年目に入った。幕開け作は、没後400年となるシェークスピアの半生を描くオリジナル作。主演のトップ朝夏は、真っ赤に燃えている。

 「(ショー演出の)藤井(大介)先生から、イメージカラーが赤と言われ、え、赤? って。私的にはブルーが好きですけど。ゴレンジャーでも赤は真ん中(主人公)ですし、信念の赤でもあり、初日の出も赤。何にも負けない色って感じがするのでいいですね」

 シェークスピア役の髪形には、野性味を加えた。

 「今までにやったことのない髪形。彼は純粋で、清廉な内面と、自分を貫く激しい部分の両面がある。ワイルドで、ある意味、無防備な野性味を髪形で」

 4大悲劇「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」や、「ロミオとジュリエット」など、多くの名作を生んだシェークスピアだが、本人には謎も多い。朝夏は24歳までの6年間を演じる。

 「イギリスの田舎育ちだったことが『真夏の夜の夢』に生かされたのではないか」。一昨年末、偶然、別の仕事でイギリス郊外のリーズを訪ねていた。「のどかで、自然がいっぱい。彼の故郷もこんな感じなのかな…と、妄想旅行していました(笑い)」。創作者の役柄ゆえに、演出家を“逆取材”もした。

 「彼は子どもがそのまま大人になったような、無邪気の塊。私もこの仕事をする上で、子ども心を忘れないで、自分をパーッと解放する部分は持っていたい。そこは分かる気がします」

 年上妻との不仲説もあるが、宝塚版では夫婦愛を前面に出す。「妻と子どもとの関係が深く描かれる。最終的に心温まる作品に」。愛で劇場を温め、ショーでは熱くはじける。ショーは33年ぶりに、全場(面)大階段のセットになる。

 「階段を下りるということは、その同じ段は上るわけで…それが何回もある。先生(藤井氏)からは『足腰を鍛えといて』と! (ショーを)やっているうちに自然に鍛えられ、終わるころには、ムキムキになっていると思います」

 大階段の思い出には「下級生時代に、軽く落ちたことはありますが、下5段ぐらいなので、そんなに目立ってなかったと思う」と笑わせた。新世紀2年目の劇団同様に、今年は朝夏自身もトップ2年目に入る。

 「(昨年の)1年はとんでもなく早かった。次から次へと、すっごく! 集中していたら、終わった。すごく充実しています」

 多忙なトップ生活を過ごすうち、知恵もついた。

 「寝る時間がないとダメだと分かったので、3~4時間でもしっかり寝る。少しでも長く寝ようと、要領が良くなった。家に帰ったらソファに座らない! 座ったら動けなくなるから」

 加湿機能を強化し、風邪対策も万全だ。昨年は星組から2番手の真風涼帆が移籍。ともに九州出身ですぐ打ち解け、相乗効果も実感。「やりたい役、作品の幅が広がった。すごく頼もしい」。名相棒を得て、充実のトップ2年目へ踏み出した。【村上久美子】

 ◆シェークスピア没後400年メモリアル・ミュージカル「Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~」(作・演出=生田大和氏) 「ロミオとジュリエット」「ハムレット」「真夏の夜の夢」「オセロ」などを生み出した劇作家、ウィリアム・シェークスピアを主人公にしたオリジナル。彼の創造力をともに育み、支えた妻アン・ハサウェイ(実咲凜音)、後援者のジョージ・ケアリー(真風涼帆)らをまじえた人間模様を描く。

 ◆ダイナミック・ショー「HOT EYES!!」(作・演出=藤井大介氏) 朝夏の特徴的で大きな“瞳”に宿る輝き、情熱がテーマ。33年ぶりに全場(面)で大階段を使ったショーとしても、注目を集める。

 ☆朝夏(あさか)まなと 9月15日、佐賀市生まれ。02年に初舞台。花組所属。05年「マラケシュ・紅の墓標」で新人公演初主演。10年「BUND/NEON 上海」でバウ単独初主演。12年6月に宙組。13年「風と共に去りぬ」でスカーレット役。昨年2月トップ就任。同6月「王家に捧ぐ歌」で本拠地お披露目。身長172センチ。愛称「まぁ」「まなと」。