NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(4月3日スタート、月~土曜午前8時)に主演する女優有村架純(24)が、放送前に作品への思いを語った。ひよっこ女子の成長物語だが、演じる本人は「いつまでもひよっこの気持ちを持っていたらいけない」と、ヒロイン役の重みを受け止めている。

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 -放送を控えた心境は。

 有村 実在した方の偉人伝ではなく、高度成長期の普通の女の子の成長物語。何もとらわれるものがなく、自由にやっていいので、皆さんに気楽に見ていただいて「今日も頑張ろう」「行ってきまーす」と思っていただけるような、さわやかな風が吹けばいいなと思います。

 -ヒロイン「みね子」の魅力は。

 有村 働くことが好きで、家族、友達が好き。まっすぐな感情で物事にぶつかっていく女の子です。器用じゃないのでどこか空回っていて、誰が見ても何とかしてあげたいと手を差し伸べたくなる。笑っていたら泣いちゃうという喜怒哀楽の激しさがあって、短い時間で泣きにもっていくのに苦戦しています(笑い)。

 -茨城から上京して工場で働くヒロインですが、ご自身の上京時と心境は重なりますか。

 有村 私とみね子が違うのは、私は「東京に行きたい」という気持ちで上京したこと。東京は夢を叶える場所で、早く行きたいと思っていて。知り合いもいないですし、見るもの、しゃべる人、すべてがはじめましての連続で、みね子のように私も戸惑いがありました。母親が「いつでも帰っておいで」と言ってくれて、安心できる言葉でした。

 -3年前の「あまちゃん」の時と、ヒロインを演じる今回の違いについて。

 有村 「あまちゃん」の時は「この作品で変われなかったらもう無理だ」と、自分を変えたいと思ってやらせていただいた作品でした。お芝居することに精一杯で周りが見えていなかった。今は疲れていても同じテンションでいたいと思いますし、視野が広くなった気がします。この作品や、みね子が皆さんの心に残ってほしい。余裕はないですけど、見る視点が変わったというか。

 -ヒロインの重みは感じますか。

 有村 作品を背負っているという思いは常に感じています。放送が始まれば視聴率のことも言われるだろうし、そういう日々が待っているんだろうなと。みんなですてきな作品を作っている意識が強いので、自分だけが不安じゃないというか。みんな同じ気持ちでいてくれるので安心しています。

 -ご自身について、ひよっこだと思う部分はありますか。

 有村 よく聞かれますが、自分ではよく分からなくて。仕事のスタンスは変わっていないのですが、責任や、周りが変化しているのを理解しなきゃいけないし、今までのようにはいられないんだなとは思います。いつまでも新人のような気持ちでいちゃいけないと思う。次のステップに向かうために、ひよっこの気持ちを持っていたらいけないと思います。

 -茨城編からのスタートですが、茨城は魅力度ランキング4年連続最下位になってしまっています。

 有村 なんでだろう、納豆おいしいし。撮影した北茨城は開放感があって、ギューッとなってた心がふわっとなります。テレビで見たんですけど、皆さん最下位をネガティブにとらえていなくて、むしろこのまま最下位の方がおいしいから貫き通したいみたいなポジティブなとらえ方がすごいなと。そういう人が集まっている、前向きな県ですてきだと思います。

 -高度成長期を通して感じることは。

 有村 戦争が終わって海外から見たことないものが入ってきて、みんなが生き生きと過ごしていた時期だと思う。当時トランジスタ工場で働いていた人に聞くと「働くことって素晴らしい」「人間って素晴らしい」と感じた時代だったと。人が前のめりにいけた時代が実際にあった。今の日本は就職するにも難しいし、働くことにマンネリ化を感じちゃう人もたくさんいる。あらためて「働くことって楽しい」「生きてるっていいな」という作品になればと思います。