【ロサンゼルス5日(日本時間6日)=千歳香奈子通信員】米俳優ハリソン・フォード(72)が操縦していた小型飛行機が、同日午後2時20分頃、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊のゴルフ場に墜落した。フォードは飛行機好きで知られる。頭などに重傷を負ったが命に別条はないという。

 機首が折れた機体から救出されたフォードは、頭に深い傷を負い、出血していた。偶然、コースを回っていた医師2人に応急処置を施された後、頭を包帯でグルグル巻きにされて担架で運ばれた。意識はあり、問いかけにも答えられる状態だったというが、救出したゴルフ場職員は「顔面血だらけで、フォードだとは気付かなかった」と驚いた。

 公開された管制塔とのやりとりによると、フォードはサンタモニカ空港を離陸後、管制塔に「エンジンが止まった。引き返したい」と要請し、空港へUターンしようとしていたという。目撃者によると、機首から落ちてきた飛行機は、低空飛行を続けながら空港に程近いペルマー・ゴルフコースに接近。木に当たった後、8番ホールのティーグランドに突っ込んだ。

 フォードは20年前に操縦免許を取得するなど、無類の飛行機好きで知られ、操縦機は第2次世界大戦で訓練用戦闘機として使われた、2人乗りのシングルエンジンのプロペラ機だった。専門家は「空港に戻ろうとしたが、たどり着くのに十分なスピードがなくゴルフコースへの強制着陸をしたようだ」と分析。一歩間違えれば大惨事になりかねない状況の中、ゴルフ場でけが人は出ず、「よく訓練された、素晴らしい仕事」と操縦技術を絶賛した。

 ただ過去にヘリコプターを操縦して遭難者の救助を行った一方で、99年10月には緊急着陸の練習中にヘリコプターを不時着させるなど危機一髪の状況も味わっていた。

 フォードの広報は「ケガは生命に関わるものではなく完全回復が見込まれている」と声明を発表した。息子のベンさんも、ツイッターで「父は事故でぶちのめされたけど大丈夫。彼はいつも通り、信じられないくらい強い男だ」とコメントした。ただ、今夏から33年ぶりとなる「ブレードランナー」続編の撮影が決まっており影響が懸念される。