昨年5月放送のNHK「クローズアップ現代」で、やらせ疑惑が指摘された問題で、NHKの調査委員会は28日、東京・渋谷区の同局で会見を行い、「過剰な演出」「誤解を与える編集」があったとする一方で、捏造(ねつぞう)につながるやらせはなかったとする調査報告書を発表した。

 詐欺のブローカーとして登場した男性が、NHKの記者に指示されて演じたと3月に週刊誌を通じて告発していた。

 調査委は、「男性と演技の打ち合わせの機会もなかったと言える」としたが、男性がブローカーか否かも確認できなかったと説明。ブローカーと断定的に伝えたことは不適切だったとした。取材した記者(38)を停職3カ月の処分にすると発表した。他に関係職員ら14人も言及やけん責処分とした。会長は役員報酬の20%、他の役員3人は10%を2カ月自主返納するとした。

 番組では、記者が知人の多重債務者を追いかけ、初対面のようにインタビューする場面もあった。取材陣から「やらせと言えるのではないか」との指摘も。NHKは「意図的または故意に演技させ、架空の場面を作るなど事実の捏造(ねつぞう)につながるやらせではないと判断した。捏造の意図はなく、過剰な演出と判断した」と釈明した。

 また、多重債務者が「NHKスペシャル」など出家詐欺以外の番組に出演していたことも明らかにされた。裏社会に詳しいため、記者が依頼したが、知らないことを話させるといった問題はなかったという。記者からの金銭の支払いもなかったとした。