歌手ナオト・インティライミ(35)が初のドーム公演を行うことが3日、分かった。12月23日に京セラドーム大阪で開催する。3回目のメジャーデビューから5周年。地道な努力を積み重ね、夢だったドーム公演にたどり着いた。

 京セラドーム大阪で公演を行う男性ソロ歌手はナオトで9人目となる。動員予定は4万人。迫力ある映像や最新技術を駆使した演出を盛り込もうと、構想を練り始めている。「名だたる大先輩の中に、自分の名前が加わるなんて感激です。やるからには最新のライブにしたい」と意気込む。

 一方でぬくもりにもこだわる。「ストリートからはい上がってきた雑草のような歌い手なので、当時の感覚が今もあります。4万人でも40人の前でやっているような温かいライブにしたいですね」。

 長い道のりだった。メジャーデビューを3回経験した。1回目は01年から03年までにシングル3枚、アルバム1枚を発表。05年から06年まではシングル2枚を発表したが、ヒットせず、泣かず飛ばずだった。

 その後4年間は武者修行に徹した。活動の場は全国での路上ライブが中心で、観客が数人ということもあった。それでも真摯(しんし)に音楽と向き合い、10年のメジャーデビュー後もシングル15枚、アルバム5枚を発表。12年シングル「今のキミを忘れない」は151万ダウンロードを記録するなどヒットに恵まれ始めた。同年にNHK紅白歌合戦に初出場。ドーム公演を開催できる集客力も付いた。「飛び級したわけではなく、7人から50人…とコツコツと1歩1歩踏みしめてきたつもり。応援してくださったファンの方がいたからこそです」と感謝の言葉が自然に出る。

 今月10日に5周年記念ベストアルバム「THE BEST!」を発売する。これを引っ提げ、夏フェス9本に参加予定で、各地の学園祭にも招待されている。「1人でも多くの人に曲を届けたい。規模が全てではないですが、ドーム公演はアーティストとしての夢がかなう瞬間でもあり、5周年の集大成。満員になる景色が見たいので、チケットは手売りでやっていく心づもりです」。遠回りした分だけ、初心を忘れない。【近藤由美子】

 ◆ナオト・インティライミ 1979年(昭54)8月15日生まれ、千葉県出身。01年に1回目のメジャーデビュー。03年夏から04年末まで世界一周21カ国を渡り歩いた。これまで計41カ国を訪問。09年のミスチル全国ツアーに参加。10年ユニバーサルミュージックから3度目のメジャーデビュー。インティ・ライミはスペイン語で「太陽の祭り」の意味。血液型A。

 ▼過去に京セラドーム大阪で公演を行った男性ソロ歌手は8人いる。いずれもビッグネームで、01、14年に福山雅治、02年に桑田佳祐、08、11年に小田和正、08年に沢田研二、10年に平井堅が開催。海外アーティストでは、BIG BANGのG-DRAGONが13年、ポール・マッカートニーが02、13、15年に、ビリー・ジョエルが06年に公演を行った。