俳優鈴木亮平(32)が、三島由紀夫原作の舞台「ライ王のテラス」(来年3月4日初日、東京・赤坂ACTシアター)に主演することが29日、分かった。三島が1970年に死去する直前に書いた最後の作品で、鈴木は「三島さんがこの作品に込めたメッセージを表現できるよう、彼の思いに正面から向き合い、彼の生き方に負けないエネルギーで挑みたい」と意気込んでいる。

 舞台は12世紀のカンボジア王朝で、鈴木は国王ジャヤ・ヴァルマン7世を演じる。病に侵されながら、倉科カナ(27)演じる第2妃(きさき)に支えられ、アンコール・トムなど歴史的建造物の建設や、民衆の異なる信仰理解に尽力した歴史的人物。体が衰えていく中、肉体とは、精神とはという普遍的なテーマを問いかける。

 同作の本格的な上演は、74年に北大路欣也主演で行われて以来。三島が北大路にあてて書いた作品とあり、長く上演されなかった幻の作品だ。そんな中、演出家の宮本亜門氏(57)が鈴木の主演での再演を熱望。「役者として身を削って役に入っていくことを良しとしている方」と鈴木にラブコールを送り、42年ぶりの再演が決まった。

 鈴木は7月放送のTBS系ドラマ「天皇の料理番」で、結核に侵される主人公の兄の役を演じるため、20キロの減量に成功した。逆に10月31日公開の映画「俺物語」では、30キロを増量。体を駆使したイメージが強いが、今作では宮本氏演出の精神世界で、演技派の新たな面を見せることになりそうだ。国王を支える村娘役の大野いと(20)は、舞台に初挑戦する。