8月の台湾公演を成功させた宝塚歌劇団花組トップスター、明日海(あすみ)りおが2日、兵庫・宝塚大劇場で主演舞台「新源氏物語」「Melodia-熱く美しき旋律」の初日を迎え、りりしく、あでやかな和装で魅了した。

 明日海は光源氏になじもうと、けいこ場から和服で過ごしてきた。前作の台湾公演「ベルサイユのばら」ではフェルゼンを演じ、今度は平安宮廷が舞台。雅な空気感を求めて自宅でも白檀(びゃくだん)のお香をたくなど、環境もすっかり“和調”に変えて開幕に臨んだ。

 今作は、田辺聖子氏の「新源氏物語」をもとに81年に初演。光源氏の人間味に迫る内容で、義母にあたり禁断の恋の相手となる藤壺(ふじつぼ)への思いが強く描かれている。

 それゆえ、光源氏は心の空洞を埋めるかのように女性遍歴をたどるが、明日海は「浮世離れした人ではなく、共感を呼べる情熱的な人物を演じたい」。希代のプレーボーイを明日海流に、人間味を加えて表現することを目標にしてきた。

 光源氏役だけに相手役は、藤壺を演じるトップ娘役花乃(かの)まりあだけではなく、六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)を演じた若手男役スター柚香光(ゆずか・れい)、紫の上にふんした桜咲彩花(おうさき・あやか)ら、次々に変わる。

 トップ約1年半となる明日海は、花組の活性化に手応えを感じており「(トップ娘役とは)違う“女性”と絡むことで生まれる感情、雰囲気から、新しい発見があります」と変化を楽しんでいる。

 宝塚大劇場は11月9日まで、東京宝塚劇場は11月27日~12月27日。