俳優渋川清彦(41)が24日、都内で開催中の東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門に出品された映画「下衆の愛」(内田英治監督、来年4月2日公開)ワールドプレミア上映舞台あいさつと質疑応答に参加した。

 渋川は、女優をはじめ、出会った女性を家に連れ込んではセックスを繰り返す、自堕落な映画監督テツオを演じた。「キャラクターのすごい濃い人ばっかりでているファンタジー映画。楽しんでいってください」とあいさつ。役作りのために参考にした監督がいるか聞かれると「いなかったですね。いたとしても言えないですけどね。うーん多分、俺、そういうところ(映画に登場するような、ゲスな人が集まった場所)に、あまり近づかないようにしてますね。例えば…そういうにおいがあったら、近づかないようにしていますね。だからファンタジー映画だと思います」と苦笑した。

 映画は、製作費や公開規模が小さいインディーズ映画の製作現場を舞台に描いている。渋川演じるテツオをはじめ、細田善彦(27)演じる、女性との“ハメ撮り”で生計を立てる助監督マモル、でんでん(65)演じる、裸と動物にこだわるプロデューサー貴田など“ゲスな”映画人が多数、登場する。

 岡野真也(22)演じる新人ミナミも、女優になるために古舘寛治(47)演じる人気映画監督に近づき“ゲスな女”になる。純朴なキャラは、忍成修吾(34)演じる、脚本家を目指すケンくらいだが、本能むき出しの濃い人間もようと、ゲスな人間たちが、映画に惜しみない愛を注ぐという点で、愛らしさをのぞかせるところが作品の魅力だ。

 内田監督は「本当に人間のクズしか出てこない映画なんですけど、これだけは言っておきたいのが、これ自伝じゃないんで。フィクションなので。いろいろな下衆ヤローが映画に出てくるんですけど、共通して映画が好きというところがあります。役者さんたちも演技がすばらしいので、そういう部分も見ていただければと思います」と熱く語った。