米テレビ界では近年、放送終了を迎えたドラマのリメーク制作が盛んである。今シーズンのラインアップには、人気SFドラマ「HEROES/ヒーローズ」(06-10)の新シリーズ「HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン」が含まれており、来年は「X-ファイル」(93-02)が13年ぶりに復活。「フルハウス」(87-95)の新シリーズの放送も予定されている。また、2017年には「ツイン・ピークス」(90-91)の新シリーズも放送予定となっており、往年の海外ドラマの復活が目立つ。今回は、このリメークブームの秘密に迫ってみる。

 最近のテレビ界は昔と比べ、大きく様変わりしてきた。ABCやNBC、CBSなどのネットワーク局に加え、HBOやFXなど、良質な作品を数多く生み出しているケーブルテレビが大きな存在感を示すようになった。また、Netflixを始めとしたストリーミングサービスも盛んで、こちらも近年、良質なオリジナル番組を多く制作している。加えて、映画監督、俳優なども続々とテレビ界に進出するなど、今のテレビ界は映画にも劣らないハイクオリティーな作品を次々と生み出し続けている。

 では、なぜ今になってリメークの動きが盛んになってきたのだろうか。その理由の1つとして、作品数の多さが挙げられる。米「Vulture」誌によると、2014年にネットワーク局、ケーブルテレビ、ストリーミングサービス用に、なんと325本の脚本が執筆されたという。あまりに多くの作品が誕生しているため、その中で存在感を示すのが難しくなってきているのだ。昔のドラマを復活させることで、人々の注目を集めようとしているのである。

 各局がリメークやリブートを検討しているといううわさだけでも、多くのニュースメディアはそのうわさを取り上げるだろうし、視聴者もSNS上でそのニュースについて書き込みをすることが予想される。実際に「フルハウス」の新シリーズ「Fuller House」(原題)制作に関するニュースが伝えられた際には、SNS上でトレンド入りした。

 そして、マーケティングの観点からみても、リメーク制作には大きなメリットがある。各メディアがニュースを取り上げ、SNS上でも盛り上がりを見せるということは、視聴者が既にそのドラマの存在を知っているということ。マーケティングの予算を一切使用することなく、潜在的な視聴者の確保ができるのである。

 しかしながら、必ずしもリブート作品が全て成功するとは限らない。始めは、かつての人気ドラマが復活を遂げるというニュースにワクワクする視聴者は多い。しかし、そのリメーク作品が長期で放送を続けられるかは全く別の話だと米「Vulture」誌は指摘する。それでも、乱立する作品の中で、存在感を発揮するだろうリメーク作品の制作は、放送局にとって魅力的なことなのだろう。【ハリウッドニュース編集部】