X JAPANが28日、20年ぶりの日本ツアーを宮城・石巻市内のライブハウス、石巻ブルーレジスタンスでスタートさせた。収容人数はわずか150人で、同市内で急きょパブリックビューイングを開催。3000人が駆け付けるなど、東日本大震災復興支援チャリティー公演は同市を活気づけた。

 小さなライブハウスが異様な熱気に包まれた。スタンディング形式でやっと150人が入れるほどのスペース。ステージとファンの間に柵が設けられたが、両者の間に距離はなかった。アンコールで、YOSHIKIがステージからファンに手を差し出した後、うれしそうに言った。「痛い、痛い。この感覚、久しぶり。手が届くもん。これもまたいいなぁ」。

 20年ぶりの東北公演は、YOSHIKIの一言から実現した。13年9月に石巻市内の幼稚園と小学校を訪問後、同ライブハウスを訪れた。「ここでツアーを始められたら」。YOSHIKIは当時つぶやいた言葉を忘れていなかった。

 「ここにまた戻ってきますと話したので。X JAPANは機材が大げさで、ヘタに野外公演をやるとお金が掛かってしまう。初心に帰るという意味でも、ライブハウスからのスタートはいいかなと。被災地の現状を少しでも伝えられたら。震災を風化させてはいけないと思っています」。

 震災直後に石巻市内で泥かきなどボランティアを行ったSUGIZOは「4年前は音楽の無力さを感じましたが、4年後に音楽の強さを伝えられるのは感慨深い」としみじみと言った。

 観客の半数は地元・石巻市、東松島市、牡鹿郡女川町在住者を無料招待。残りの半数をチャリティーオークションに出品。落札額は計2800万円に及んだ。YOSHIKIは落札者に「高額チケットになって申し訳ないですが、みなさんの愛を感じます」と感謝。全額寄付し、被災地の子供たちの支援に使用される予定。亀山紘石巻市長や地元高校生が出迎え、メンバーに感謝した。

 「あまりしんみりしてもいけないし元気になるよう、過激なX JAPANを披露しようと思います」。YOSHIKIの宣言通り、「紅」「Forever Love」といった代表曲をそろえた。終了後、YOSHIKIは無料パブリックビューイングが行われた石巻市総合体育館に直行。「これからも一緒に頑張りましょう」とあいさつ。地元ファンを感激させた。【近藤由美子】