進境著しい宝塚歌劇団月組の男役スター、珠城(たまき)りょうが17日、兵庫県宝塚市内の同劇団で、来年3~4月の全国ツアー「激情」「アパショナード3」について、取材会を開き、来年の決意のことばに「翔」をあげた。

 「飛翔の『翔』で、羽ばたくという決意です」

 月組では、来年9月4日に退団するトップスター龍真咲(りゅう・まさき)が、前日16日に退団会見を行ったばかり。珠城は、龍率いる月組を支え、来秋以降の組を引っ張る立場でもある。月組の中で、自らが重みを増していくことに「恐れず、怖がらず、仲間を信じて表現していきたい。覚悟を決めて、自分の足でちゃんと歩いていきたい」と力を込めた。

 珠城は14日に兵庫・宝塚大劇場で千秋楽を終え、来年1月3日に東京宝塚劇場公演の開幕を控える「舞音-MANON-」では、龍、トップ娘役・愛希(まなき)れいかの直前に、羽を背負い、階段下り。新人公演(7年目まで)を卒業したばかりの8年目だが、2番手のポジションへ成長した。ダイキンのルームエアコン「うるさら」シリーズのCMキャラクターにも起用された。

 「世間では抜てきと言っていただきますが、たとえ上級生より前にいようが、私は先輩たちを尊敬しています。『舞台に謙虚さは必要ない』と言いますが、舞台を降りたら謙虚であるべき。そう、私は思いますし、だから『マジメすぎる』と言われるのかもしれませんが、でも間違ってないと思います。だからこそ、上級生の方ともいいお話ができ、お互いを認めあえるからこそ、いい舞台ができると思います」

 トップ4年の龍率いる月組は進化を続け、来秋に控える新体制へ向かう。若きスターは、しっかりと地に足を着け、状況が見えている。各組トップがそろう年1回の「タカラヅカスペシャル 2015」(今月19~20日、梅田芸術劇場)にも、2番手格での出演が決まっている。

 「龍さんといえば『キラキラ』。龍さんのキラキラは龍さんしか出せないので、私は情熱的で熱く。『オラオラ』感を出して、熱さを打ち出していきたい」

 劇団でも有数の美形を誇るトップ龍とは一線を画し、自らは、たくましく強い男役像を求めてきた。その結果が「熱さ」だ。

 今回、全国ツアーは初主演。相手役にはトップ娘役の愛希を迎える。ミュージカル「激情」は、メリメ原作の「カルメン」がモチーフ。宿命の女カルメンに翻弄(ほんろう)され、愛ゆえに落ちていくドン・ホセを演じる。99年に姿月あさと・花総まりの宙組で初演され、10年には柚希礼音・夢咲ねねの星組で再演されている。

 「男っぽい役をやりたかったので、うれしい。ツアーは、月組だけではなく、宝塚を背負って(全国へ)行くもの。情熱のタイトル通り、心から踊っているような、珠城りょうのエネルギーを押し出したい」と話し、来年明け以降、役作りへ本格的に取り組む。

 ツアーは来年3月19日に大阪・梅田芸術劇場で開幕。同4月16~17日の福岡市民会館まで、全国16カ所41公演を予定している。