俳優中村雅俊(65)と女優五十嵐淳子(63)の三女でモデルの中村里砂(26)が、来月21日公開の映画「少女椿」(TORICO監督)に主演し、女優デビューする。84年に青林堂から出版されたカルト漫画の同名原作を実写化。エログロ渦巻く見せ物小屋を舞台にした、主人公の美少女みどりを演じる。

 見開かれた大きな目に、ポッテリとした唇。頭に乗っかった水玉模様の大きすぎるリボンが印象的だ。30年以上にわたり、実写化は不可能といわれたカルト漫画の傑作で女優デビューする。

 「自分にできるかな、というのが素直な気持ちでした。少女の役なので年齢的にも。原作の絵があるので、そこに似せつつ演じるのは難しかった」。母と死に別れ、サーカス団に拾われる少女みどり。超能力者、ゲイの美少年、蛇使いの女、両手のない男といった中で、いじめられながらも映画スターを夢見る。CGや特撮で、異様な世界を描き出している。「撮っている時は、完成形が想像もつかなかった。だけど、あらためて作品になると達成感があります」と振り返る。

 父は「歌う青春スター」から、今なお活躍する名優。母は清純派の美人女優だ。美男美女の両親から生まれ、オールドファンは、中村の大きな目と唇に、母の五十嵐を重ねる。「今まではモデルだったんで、別の仕事という感じ。でも、お芝居の世界は比較されるから、ちょっとプレッシャーもあります」。

 もっとも、両親は娘の女優デビューを喜んでいるという。「モデルの時は聞かなかったのに、この作品を撮り始めたら、父が『今日、どうだった』って私の仕事に興味を示してくれた。自分でやってみて、あらためてというか、初めて父を尊敬しました。『パパは、これを40年やってるんだ』って言ってました」と屈託のない笑顔をみせた。

 デビュー作を完成させたことで、次作への意欲もわいてきた。「『少女椿』では周りが異常な世界で、私だけが一応、普通だった。今度は逆に異常な役をやってみたい。人に怖がられるような悪役。殺人、サイコパスとか、できると思うんですよ」。ヌードも辞さない? 「需要があれば! いや、ないと思いますけど」とまたもや笑った。【小谷野俊哉】

 ◆中村里砂(なかむら・りさ)1989年(平元)7月12日、東京都生まれ。10代からモデルとして活動。13年からファッション誌「LARME」専属モデル。ファッションブランドE hyphen BonBonのプロデュース、デザインも手掛ける。160センチ。血液型A。