来月11日開幕する第69回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを競うコンペティション部門の出品作が14日、映画祭事務局から発表され、日本作品は含まれなかった。独自の視点の作品を集めた「ある視点」には、是枝裕和監督(53)の「海よりもまだ深く」(来月21日公開)と、深田晃司監督(36)の「淵に立つ」(今年秋公開)が選出された。同映画祭の参加は、是枝監督が2年連続6度目、深田監督は初めて。またスタジオジブリがフランスの製作兼配給会社とタッグを組んだアニメ「レッドタートル ある島の物語」も同部門出品が決まった。

 「海よりも-」は阿部寛と真木よう子が元夫婦を演じ、樹木希林、小林聡美、リリー・フランキーら個性派が共演した。是枝監督はこの日、都内で「伊丹十三賞贈呈式」に出席中に吉報を聞くと「カンヌは特別な場所。自分の作品がどのくらい遠くへ旅立つかの試金石になる」と喜んだ。阿部は「今は信じられないくらいうれしい」、真木は「世界の方々に見ていただけるのを楽しみにしています」とコメント。

 「淵に-」は夫婦と1人の男の奇妙な共同生活を描いた。深田監督は「最高の形で世界に届けられることをうれしく思います。感謝しかありません」。主演の浅野忠信(42)は昨年の「岸辺の旅」(黒沢清監督)に続き、主演作が2年連続で同部門選出となった。映画祭は来月22日まで。