石原プロモーションの「次世代スター発掘オーディション」の最終選考会が25日、都内で行われ、米カリフォルニア在住の神田穣(20)がグランプリを受賞した。米国の野球のトライアウトに合格した異色の経歴の持ち主だ。今後、石原プロ製作の映画に出演する予定。準グランプリは丞威(じょうい=21)、特別賞は増本尚(16)に決まった。

 応募1万5218人の頂点が発表された瞬間、神田は「素直にうれしい。全然実感が湧かなくて何を言っていいのか戸惑っています」と驚きを隠さなかった。それでもチャームポイントの笑顔を爆発させた。審査委員長の石原まき子さんも「すてきな笑顔が印象に残りました」と絶賛した。最終選考は苦手な歌も披露。「すごく下手な子がいる」とからかわれたほどだが、審査員のLiLiCo(45)は「あの瞬間ほれた」。ギャップが女性のハートをぎゅっとつかんだ。

 審査委員も務めた神田正輝(65)は、同じ名字の後輩の加入に「『神田』は譲ります。僕は『リタイア神田』にしてください。これからは『グランプリ神田』と『知らんぷり神田』で」と得意のオヤジギャグで祝福した。

 幼少から野球を続け、立教高卒業後、米国でプロや大学の関係者が適性を見極めるトライアウトに合格した。2年前に渡米したが「大学には入ったんですが、成績が悪すぎて…」と入部に待ったがかかった。慣れない海外生活で、つらいこともたくさんあったが、小栗旬(33)の主演ドラマ「信長協奏曲」に勇気をもらった。「画面を通して誰かを勇気付けられる存在になりたい」と俳優を志した。

 オーディションへの意気込みは、体を作り上げたことからもうかがえる。趣味は筋トレで、総合格闘技のトレーニングも週6回取り組んだ。筋肉をアピールするため、半年で85キロから69キロに減量。3週間前から、食事は野菜と白身魚だけ。「自分を追い込むことで、負けてたまるかという気持ちになった」。

 グランプリになったことで、米国の大学は5月いっぱいでやめ、帰国するつもりだ。野球への未練は「ものすごくあります」と、素直な気持ちを吐露したが、今後は芸能活動1本。「勝って兜(かぶと)の緒を締めよ。ここからです」。視線は未来を見つめていた。【小林千穂】

 ◆神田穣(かんだ・じょう)1995年(平7)7月22日、埼玉県生まれ。高校3年の夏に野球のトライアウトを受け渡米。米カリフォルニアのエルカミノカレッジ在学中。護身のためにジムに通い始め、柔道やキックボクシング、空手、総合格闘技を習う。週6回約2時間のトレーニングを行っている。178センチ、69キロ。