尾上菊之助(38)の長男和史君(2)が2日、東京・歌舞伎座「団菊祭五月大歌舞伎」(26日まで)の夜の部「勢獅子(きおいじし)音羽花籠」で初お目見えした。緊張からか手で顔を覆っていたが、最後は手を振る余裕を見せて観客を沸かせた。

 菊之助に手を引かれ、花道から登場したが、途中で滑ってしゃがんでしまったため、抱き上げられて舞台中央へ移動した。祖父で人間国宝、尾上菊五郎(73)中村吉右衛門(71)の2人も心配そうに見守った。吉右衛門は顔をのぞき込んで緊張をほぐそうとしたが、和史君は顔を隠したまま。菊之助が「ごあいさつをさせていただくには、少し足りませんが、ゆくゆくはひとかどの役者になれますよう、お引き立てのほど、お願い申し上げます」とあいさつすると、温かい拍手が起こった。

 終了後、菊五郎の妻、女優富司純子(70)は「歌舞伎役者としての門出を、たくさんの皆さんの中で初お目見えさせていただいて幸せですよね」と感慨深げだった。吉右衛門の妻知佐さんは「楽までには」と千秋楽までどう成長するか楽しみにしていた。

 初お目見えを祝い、舞踊「勢獅子」にアレンジを加えた演目には50人近い俳優が出演した。【小林千穂】