昨年5月に大腸がんで死去した俳優今井雅之さん(享年54)が企画・脚本を担当した映画「手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~」の舞台あいさつが20日、大阪市内で開催され、主演の川平慈英(53)すみれ(25)奈良橋陽子監督(68)が登場した。

 川平演じる知的障害がある青年が主人公で、中学校に入り、ばかにされたりいじめられたりしながらも、同じ障害のある女性と出会い、やがて結婚するが…というストーリー。今井さんが原作・脚本・主演を務めた同名舞台を映画化した。

 川平は「パッションと魂と愛が詰まった映画。生きることの素晴らしさや夢を追うことの素晴らしさを感じ取っていただけると思う」と自信をのぞかせ「口コミ、グイグイ! よろしくお願いします」とお決まりのフレーズで笑いを誘った。

 今井さんからメガホンを依頼された奈良橋監督は「彼は諦めることが一切なかった」とたたえた。当初は今井さんが主人公を演じる予定だった。病状が悪化し、亡くなる約1カ月前に川平に依頼したといい「雅之が一番喜んでいると思う。(川平は)弟のような人」と話すと涙をこぼした。

 今井さんを「まーちゃん」と呼ぶほど仲の良かった川平は「まーちゃんの劇団時代の白黒写真をポケットに入れて撮影に臨んだ」と明かし、「まーちゃんと陽子さんの愛情に包まれて、手伝ってくれる人たちの優しさに抱擁されるような毎日だった」と撮影を振り返った。

 今井さんの地元関西で舞台あいさつを行ったことについて奈良橋監督は「本当にうれしい。ぜひ、彼の生命を祝って見ていただきたい」と話した。

 映画公開日は、今井さんの一周忌にあたる5月28日。