「弟よ」「想い出ぼろぼろ」などのヒット曲で知られる歌手内藤やす子(65)が26日、10年ぶりのステージ復帰となるスペシャルライブを都内で行った。

 06年に福島県内でディナーショー開催中に脳出血で倒れ、緊急入院。失語症、右半身のまひ、記憶障害などを伴い、自宅療養を行ってきた。復帰を目指し、約1年前からボイストレーニングを行ってきた。

 12年ぶりの新曲「あなたがいれば」を含む9曲を披露。「自分の曲なのに、歌詞を見ないと歌えない」と時々楽譜を見た。歩行や階段の上り下りは、20年以上前に結婚した英会話教師の夫マイケル・クリスティンソンさん(44)に支えられながらだった。「(体調は)100%じゃない。40%かな。ちゃんと歌えてない」と言いながらも「歌うことが楽しかった。すごい、いい気分」。集まった100人から温かい拍手が起きた。アンコールでは感極まって涙を流し、言葉を詰まらせる場面もあった。

 倒れた後の5、6年間のことは「何も覚えてない」という。マイケルさんは「2+4=15とか足し算ができなかったり、入院中、裸の上にコートを着て走り回ったり。今日は本当にうれしい」としみじみ語った。

 かつて2年連続で出場したことがあるNHK紅白歌合戦について聞かれると「出たいけど。話題にしてください」と前向きだった。