俳優市村正親(67)が10日、東京・池袋の東京芸術劇場で、11日に初日を迎える「ひとり芝居 市村座」(21日まで)の最終稽古を行った。

 「市村座」は97年に旗揚げされ、今回は12年ぶり6回目。2年前に胃がんの手術をして、胃の半分を切除した市村だが、元気いっぱいの様子で、「『市村座』を待ってる人が多く、いつやるのかと声を掛けられて来た。胃がんや半月板の手術をした自分がやることで、病気やけがをした人に元気をあげることができれば。今までにない、新しいものにしたい」と話した。

 今回のテーマは「親と子」。古今亭志ん朝や立川談志の落語「子別れ」を題材にして「ミス・サイゴン」「オペラ座の怪人」「屋根の上のバイオリン弾き」など、自分が出演したミュージカルと絡ませて膨らませた。「志ん朝さんや談志さんとは違う『市村座』ならではのドラマにしたい」。

 私生活では、篠原涼子(42)との間に8歳と4歳の男の子がいる。「12年前と違うのは自分が親になったこと。胃がんになっても回復できたのは、神様が『子供が小さいから、こっちの世界に呼ぶのはよそう』と判断してくれたんだと思う。子供のためにも、健康でいいものを見せたい。明日みんなで見に来ます」と笑顔を見せた。

 カーテンコールでは5月に80歳で亡くなった舞台演出家の蜷川幸雄さんにささげる詩を「ビーイング・アライブ」のメロディーに乗せて歌う。「年は近いけど、私を育ててくれたという意味では親。感謝の気持ちを込めて歌います」。さらにお笑いネタにも挑戦。バンビーノの「ダッソン」、ラジオフィッシュの「パーフェクト・ヒューマン」を披露する。「子供の影響でね。『市村座』は何でもあり(笑い)。でも、疲れますよ。全部、自分でやるんだから」と話した。

 体力づくりのためヨガとストレッチを欠かさないが、リオ五輪も連日テレビ観戦している。中学で柔道部、高校で体操部に所属しただけに、熱い思いで声援を送っている。「体操団体の金メダルは素晴らしい。市村と内村!」とエース内村航平選手にエールを送った。