米女優メリル・ストリープ(67)が来日し、東京国際映画祭の開幕前日の24日、都内で会見した。

 主演映画の「マダム・フローレンス! 夢みるふたり」(12月公開)は同映画祭のオープニング作品。6年ぶり7度目の来日となるストリープは「大変光栄です。キャスト、スタッフは多忙な人ばかりで、暇な私がやってきました。前回より人が倍になっている気がします」と、200人を超える内外の取材陣を見回した。

 音痴な富豪夫人がカーネギーホールの舞台に立った実話を元にしたコミカルな作品。「彼女は歌は下手でも音楽を愛していた。カーネギーホールやオーケストラに多額の寄付をしていたからコネはあったわけですね。自分で歌いたいと思っているこういう富豪って実は多いんです」という。

 もともとオペラ歌手志望で絶対音感の持ち主としても知られるストリープだが、「この作品に入る前に2カ月コーチについて声のトレーニングをしました。アリアをしっかり歌えるようにした後に、最後の2週間でそれを崩して(劇中の役に)近づけました」と、相変わらずの緻密な役作りを明かした。

 ハリウッドの男性優位についてしばしば苦言を呈してきたが、「この映画は70歳の女性を主人公にした初めての作品かもそれない。私よりかなり上の年齢で(笑い)苦労しましたが。映画はどうしてもマーケットの要求に従うもの。でも、私自身58歳のときに『マンマ・ミーア!』のような作品に主演したし、テレビの連続ドラマには高齢の女性のいい役が少なくない。変わってきていると思います」。

 米大統領選で支持しているヒラリー・クリントン候補が「自分のことが映画になるなら、メリル・ストリープにやって欲しい」と発言したことについては「たいへん光栄です。でも、それをやるには時間がかかる。彼女が成し遂げることはこれからだから」と、初の女性大統領へ期待をにじませた。一方で「大統領選のことをしばしば聞かれるので、ちょっと重荷。早く終わって欲しいというのが正直な気持ちです」とも。

 結婚38年を迎える夫の彫刻家ドナルド・ガマー氏についても言及し「夫婦円満はすべて夫のおかげ、アーティストだから、私が役にのめり込んでイライラしても理解してくれる」とほほ笑んだ。