童謡「森のくまさん」の日本語の歌詞を手掛けた大阪府の馬場祥弘さん(72)が18日、替え歌の芸を収録したCDで著作者としての人格権を侵害されたとして、タレントのパーマ大佐(23)と制作、販売したユニバーサルミュージックに慰謝料300万円の請求を通知した。

 馬場さんの代理人弁護士によると、昨年11月ごろ日本音楽著作権協会(JASRAC)を介し、ユニバーサル社側から「歌詞に加筆する承諾を得たい」と連絡を受けたが拒否。しかし、12月に「許可を頂いた」としてCDのサンプルが届いた。歌詞の著作権はJASRACに属するが、改変には著作者の承諾が必要となる。

 パーマ大佐のCDでは、本来と別の詞やメロディーが加えられている。

 「ある日森の中、熊さんに出会った 花咲く森の道 熊さんに出会った」までは元歌だが、その後、メロディーが変わり「1人ぼっちの私を強く抱きしめた熊」という歌詞に変わる。クマと恋に落ち、警察から追いかけられるお嬢さんを助けて、逃がす内容になっている。歌詞には訳詞者として馬場さんの名前も記載。馬場さんは「自分の詞とは情感に反する。改変後の詞も自分が作ったような表記はおかしい」と話しているといい、CDの販売差し止めやインターネット上の動画の削除も求めた。

 ユニバーサル社広報は「適切な手続きを踏まえ発売致しております。現時点で当社に書面が届いておりませんので、これ以上のコメントは差し控えます」。パーマ大佐が所属する太田プロ広報部は「手続きはレコード会社に委ねている」としている。

 ◆パーマ大佐(たいさ)本名国土郁音(こくど・いくと)。1993年(平5)8月26日、埼玉県北本市生まれ。高校時代から漫才コンビを組み、卒業後、ピン芸人に。絶対音感を持ち、特技はボイスパーカッション、縦笛、ウクレレ。父は音楽評論家国土潤一さん、母はピアニスト国土浩子さん、姉は作詞家国土佳音さん。172センチ、血液型B。

 ◆過去の主な歌詞改変騒動 05年と06年のNHK紅白歌合戦で、森進一が「おふくろさん」の冒頭にセリフを入れて歌ったことに、作詞家川内康範さん(享年88)が激怒。一時、同曲歌唱を禁止したが、08年4月に川内さんが死去し、同11月に遺族側と和解した。また、14年には、沢田知可子の代表曲「会いたい」の歌詞改変や題名変更をめぐり、作詞した沢ちひろさんが発売元のレコード会社などを相手に損害賠償を求めた訴訟を起こしたが、15年に取り下げられた。