石橋静河(22)が13日、東京・新宿ピカデリーで行われた初主演映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(石井裕也監督、27日公開)初日舞台あいさつに登壇した。全国では27日から公開だが、この日、新宿と渋谷で先行上映となった。

 石橋は、初主演映画の舞台あいさつということもあり、緊張気味で、司会の質問に途中で黙ってしまうこともあった。それでも、撮影と作品について聞かれ、「(撮影中は)監督に違う、違う、違うと言われて黙っちゃいました。(作品は)ずっと心の中にあって、忘れたくても忘れられない感覚もあるだろうし(女優人生の)始まりだと思います」と心の中の思いを、自分の言葉で、真っすぐに語った。

 この日の舞台あいさつの中で、石橋が石橋凌と原田美枝子を両親に持つことが紹介された。その上で、司会から池松壮亮(26)と石井監督に、石橋についての印象を聞く質問が出た。石井監督は「実力という意味では、池松壮亮という天才には足元にも及ばない。でも新人であるということが圧倒的な魅力。人生で1度きりしか出来ない、新人であるが故の奇跡は起こしてくれたんじゃないかと思う」と評した。

 池松は「3週間、一緒にいましたけど意外と、石橋さんの本人のことは僕は知らない。石橋凌さんと原田美枝子さんの娘さんというくらい。石橋さん演じる美香は好印象。危うくて、生きることがとても苦しそうで、純粋に生きようとして、真っすぐで好きでした」と石橋の女優としての演技を評価した。

 「夜空はいつでも最高密度の青色だ」は、詩人最果タヒ氏の16年の同名詩集を、石井監督が東京で男女が出会う恋愛ものとして脚本化し、実写化した。11年3月11日に発生した、東日本大震災後の東京を舞台に、息苦しい現代に居場所を失った若い男女が出会い希望を見いだす物語だ。

 石橋演じる美香は、昼は看護師、夜はガールズバーで働きながら不安と孤独を抱えている。そんな日々の中、建設現場で働く慎二(池松)と出会う。ぶっきらぼうな2人は、互いに本音をぶつけ合い、近づいては離れる関係を続ける。

 池松は作品について「これは傑作になると思った。(読んだ脚本は)初稿くらいでしたが、筆を置いてもいいと思った」と絶賛した。【村上幸将】