津川雅彦(77)が23日、東京・角川シネマ新宿で行われた映画「生きとし生けるもの」(今津秀邦監督、6月3日公開)完成披露試写会に登壇した。

 「生きとし生けるもの」は、旭山動物園のポスターやパンフレットの撮影を手がけてきた北海道旭川市在住の写真家の今津監督が、12年4月から5年にわたり、北海道の大自然に生きる野生動物を撮り続け、作り上げた。登場するのは動物のみで、津川が誘い人として冒頭とラストにナレーションを担当する以外、セリフもない。

 津川は「キツネ1匹で、これだけ涙を誘うんだということを、この映画は表現している。外国の動物ものは、スケールばかりで心を動かすものがない。『生きとし生けるもの』はハートを持っている」と強調した。今津監督は「5年前に撮影を始めた時は、シナリオも何もない。とりあえず出掛けていって、広い北海道のいろいろなところで、撮れるものを撮った。『トムとジェリー』は基本、言葉がない。同じように見ていただいて、さまざまな能力を持つ動物から感じてほしい」と撮影を振り返った。

 津川と今津監督は、津川がマキノ雅彦名義で監督を務めた09年の映画「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」で、今津監督が本編の動物撮影を担当した縁がある。

 津川は「今津君は、動物に関する嗅覚が天才的。この人も、動物の1種と思えるくらい動物の生活を知っている。人間と動物が一体になる映像を作る名人です」と絶賛した。

 この日は、映画を後援する北海道の高橋はるみ知事(63)が登壇し、協賛する航空会社AIR DOの客室乗務員が司会を務めた。高橋知事は「編集する前の映像を見せていただいたが大変、感動しました。(見た人が)北海道がいいなと思われたら、次は北海道でお会いしたい」とあいさつした。【村上幸将】