映画「007」シリーズで3代目ジェームズ・ボンドを演じた英国の俳優ロジャー・ムーアさんが23日、ガンのため89歳で亡くなった。

 ムーアさんの公式ツイッターは同日「非常に悲しいお知らせですが、私たちの父サー・ロジャー・ムーアが本日、亡くなりました。私たちは本当に打ちひしがれています」と発表した。

 英国の複数メディアは、ムーアさんは、がんで闘病していたスイスで亡くなったと報じた。ムーアさんと3人目の妻で元女優のルイザ・マッティオリとの間に生まれた俳優のジェフリーとデボラ、クリスティアンさんは、ムーアさんが4人目の妻クリスティナさんと余生を過ごしたモナコで密葬を行うと発表。「父の望みは、モナコでの密葬だった。この難しい時期にクリスティナを支えたい」と声明を出した。

 ムーアさんは、1962年(昭37)の英国のドラマ「セイント 天国野郎」に主演し人気を博すると、71年の「007 ダイヤモンドは永遠に」で1作限定で復帰した初代ボンド・ショー・コネリーの後任として1973年(昭48)の次作「007 死ぬのは奴らだ」で3代目ボンドを演じた。85年の「007 美しき獲物たち」までシリーズ7作品連続で主演した。

 英国紳士らしい立ち居振る舞いとユーモアで、コネリーが作り上げたワイルドなボンドとは違う、エレガントなボンド像を確立した。ボンド役へのこだわりは深く、15年10月に英国のテレビ番組に出演した際は「なぜ、おじいちゃんのボンドが登場しちゃダメなんだい? 僕はカムバックするよ」と宣言した。

 俳優業の傍ら、ユニセフ親善大使など、慈善活動にも熱心で、03年にナイトの称号を与えられた。