松坂桃李(29)が、TBS系で7月から放送される日曜劇場「この世界の片隅に」(日曜午後9時)で、松本穂香(21)演じる主人公の北條(浦野)すずの夫北條周作を演じることが5日までに決まった。日曜劇場への出演は初めて。

 松坂は今回、周作役でオファーを受けたが「役より、これを連ドラでやるんだという気持ちが強かった。映画と違い時間を重ねて届けられる。楽しみ…最後、どうなるんだと」と期待感を口にした。その上で「監督の土井さんと脚本の岡田さんがいらっしゃるのがうれしくて、ぜひやらせていただきたいと」と、土井裕泰監督と脚本の岡田恵和氏の存在が、出演の大きな動機だったと明かした。

 松坂は、土井監督が手がけた12年の映画「麒麟の翼~劇場版・新参者~」、岡田氏が脚本を担当した12年のWOWOWのドラマ「尾根のかなたに~父と息子の日航機墜落事故~」に出演している。「脚本の岡田さんとは5、6年ぶり。監督の土井さんも7年…久しぶりで、どちらもすごいお世話になって、好きな方。時がたった中で呼ばれて、ご一緒するのはすごくうれしいんですけど…緊張する。どんなもんじゃい、というプレッシャーも感じながら、素晴らしいキャストの先輩と芝居して作品を届けたい」と意気込みを語った。

 一方で、太平洋戦争下の時代を描いた作品を演じることの意義も熱く語った。

 松坂 この時代のものを、戦争を知らない僕らの世代がやることの意味は大事だなと…。いろいろな作品をやらせていただく中で重要だと感じており、この世代でしか伝えられないようなものを、この時代(現代)を生きてしっかり伝えたいなと。

 松坂は15年の映画「日本のいちばん長い日」(原田真人監督)で、畑中健二陸軍少佐を演じた。今回は戦時下を生きる夫を演じることを踏まえ「夫役…寄り添いながら支えながら、小さな幸せを築きながら生きていきたい。広島で暮らしている人々の日常がフィーチャーされる。生き抜く強さ、身近に感じる日常、小さな笑いが転がっているのを、テレビで感じてもらうことが出来る。しっかり大切に思いながら、そうだよね、こういうことも幸せだよね、と気付いてもらえるものを形にしたい」と演じる周作の方向性を語った。

 「この世界の片隅に」では、舞台となる呉の方言「呉弁」のセリフが中心となる。松坂は映画「孤狼の血」(白石和彌監督、12日公開)で、暴力団と戦う刑事を演じ、気合の入った呉弁を披露している。「1年前に呉弁で撮影して感じたことがある。神奈川出身なんですけど、方言には壁…すごい高いハードルを感じる。でも向き合って、方言が味方になった瞬間、心強くなってお芝居の助けになる。呉の人が聞いても、ちゃんとしゃべってるな、と思われるように向き合っていきたい。監督も広島出身…厳しいかもしれない。細かいチェックがあるかもしれないなと」と気を引き締めた。

 松坂と松本のほか、周作の姉黒村径子を尾野真千子、父円太郎を田口トモロヲ、母サンを伊藤蘭が演じる。すずの妹浦野すみを久保田紗友、ドラマオリジナルキャラクターで北條家の隣に住む刈谷幸子を伊藤沙莉、北條家の近くに住む主婦・堂本志野を土村芳が演じる。

 原作者の漫画家こうの史代氏は「脚本を拝見し、夢にも思わないほどすてきでうれしくなりました !  飛行機が離陸する時のように力強く走りだし、悠然と飛び立ってくれたなと感じています。こんなに魅力的なキャストの皆さんに演じていただけるのも楽しみです。重厚感のある傑作になると確信しています ! 」と期待のコメントを寄せた。【村上幸将】