女優真矢ミキ(54)がフジテレビ系連続ドラマ「さくらの親子丼2」(土曜午後11時40分)で、問題を抱えた子供たちが入居する子供シェルターの食事スタッフを演じている。問題を抱えた子供たちと交流しながら、問題解決に立ち向かう。昨年10、11月に放送されたシリーズの第2弾。日刊スポーツコムでは、4週にわたって真矢のインタビューを掲載。その3週目。

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真矢が演じる九十九さくらは、親から虐待を受けた子供たちが一時的に退避する子供シェルター「ハチドリの家」の食事を作る。入居している子供たちを演じる8人の俳優は、17歳から23歳まで。真矢は“座長”として、彼らの飛躍を願っている。

「どこの世界でも、なんとか伝えてやろうという意欲を持った人が頭角を現している。私たち俳優の仕事も、台座を作ってもらって、そこに乗せてもらっているだけじゃダメ。私は、そうなりたくない。いつも自分で発信していたい。失敗してもいいから、新しいことを打ち出していきたい」

真矢自身、宝塚時代は男役の革命児と言われた。若い時から、発信することを意識してきた。

「成績がいいとか、悪いとかは、どっちでもいいと思っていました。とにかく爪痕を残して『誰よ、あれ?』というものがあればいいと。私は5列目の一番端だったけど、自分でスターだと思っていたから、他人が決めた位置なんてどうでもいいと思ってました」

「ハチドリの家」の入居者のリーダー格を演じる岡本夏美(20)とぶつかり合う演技をして、エンジンが掛かったという。

「あの子が全身で、バーンとぶつかってきてくれた。それでいて、ギリギリのところで寸止め。私の若い頃だったら、感情入れちゃったら、それに走ってぶつかっちゃたかも(笑い)。本当に、8個の個性が倍掛けくらいの勢いでぶつかってきてくれる。それに対して今、私は『ぶつかっていいわよ』と言える人でありたい」

8人のうちの1人が、さくらの作った親子丼を泣きながら食べるシーンで泣けなくなったことがあった。スタッフから「時間がないから目薬を入れましょう」という提案があったが、真矢が蹴った。

「この屈辱をそのままにしたら、その子の役者人生を引っ張ってしまうと思った。私も昔、泣けなくて『15分、休憩』ってなって、みんなが引き上げた。その時の『次も泣かなかったらどうしよう』っていう恐怖心がすごかった。でも、そこで意地でも泣いておけば、その経験が自信になっていくんです。だから『もう1回、やってもらおう』って言ったんです」

撮影時間は大きく遅れたが、取り直しのシーンでは、見事な涙が流れた。

「時間は、すごくかかったけど、よかった。そんなことで自信を喪失してほしくなかったんです。この作品だけのことなら、目薬でもいいんです。でも、この作品で成長して、自信を付けて帰ってほしいなと。そして立派な役者になったら、私の方が『使ってね』ってことになってるかもしれない(笑い)」

作品のことだけじゃない。若い世代を成長させたい。それが真矢の主役としての思いだ。

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◆真矢(まや)ミキ 1964年(昭39)1月31日、大阪府生まれ。79年宝塚音楽学校入学。81年宝塚歌劇団入団。95年「エデンの東」で花組男役トップスター。98年退団。99年フジテレビ「傷だらけの女」でドラマデビュー。ほかに映画「踊る大捜査線 THE MOVIE2」やNHK連続テレビ小説「てるてる家族」など。12年テレビ朝日系「捜査地図の女」で連続ドラマ初主演。08年にバレエダンサー西島数博と結婚。166センチ。血液型O。