3月30日、劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチ氏、シライケイタ氏、中津留章仁氏らが呼び掛け人となって、「舞台芸術関係者に対する適切な補填を求める要望」書を内閣府、文化庁に提出した。呼び掛けには、1週間あまりで、渡辺えり、中嶋朋子、宇梶剛士ら1800人が賛同した。

要望は<1>「中止となった公演について、主催者に対し、すでに支出した制作費や人件費などの経費の補填(ほてん)<2>「<1>に該当しないことから、主催者から支払いを受けられない公演関係者に対し、出演料などの適切な補填」<3>「公演を行う際に、客席の間隔を広げるなど、通常に比べて客席数を減らすなどの対策をとった場合には、主催者に対し、適切な補填」が主な内容。

シライ氏は「自粛要請で発表する場を奪われ、中止したところが倒産や失業の危機にある。声を上げた方がいいと思った」と話した。要望書には、舞台芸術関係者の厳しい現実の実例がいくつか掲載されていた。関西で舞台監督を業務とする男性は「3月に予定した公演打ち合わせ、リハーサルを含め43万円の仕事がなくなった」、フリーの関係者は「周りのフリーの人たちは3月、4月はほとんど仕事がなく、収入が0に近い人もたくさんいます。30連休以上の人ばかりです」と訴えた。

安倍首相は、イベント中止の補填について「税金による補填は考えていない」と話しているが、シライ氏は「ここまで完全に否定したことに驚いた。考えるくらいのことは言うと思った」とあきれていた。英国やドイツなどでは文化芸術にかかわる人々への休業補償や支援が行われているが、今回の要請に対して文化庁などは「経済的な支援は難しい」との認識だという。中津留氏は「海外では補填がなされているのに、日本ではまったくないのが問題」と嘆いた。賛同者の数はその後も増えているという。【林尚之】