米ニューヨークで音楽やダンス、写真の腕を磨く若手邦人芸術家らが、東日本大震災の被災地支援に続々と乗り出した。会員制交流サイトの「フェイスブック」を駆使して緊急チャリティーコンサートを企画したり、単身街頭に飛び出して募金を呼び掛けたり。はるかな母国で辛苦に耐える人々を助けようと懸命だ。

 「チャリティーコンサートのため20日にライブハウスを借りました。参加しようという方は連絡を」。ニューヨーク在住のシンガー・ソングライター石渡悠起子さん(26)がフェイスブックで呼び掛けたのは地震発生から約10時間後の11日午後(日本時間12日未明)。いても立ってもいられなかった。

 ジャズ、声楽、レゲエ、ダンス-。多彩なアーティストから次々に連絡が入った。デザイナーからは作品寄贈の申し出も。「遠い米国でもどかしい思いの人が多い」と石渡さん。「私たちは金銭的な余裕はないけれど、何かやらなきゃと思う」

 一方、ミュージシャンの松田つばささん(35)と大庭健良さん(27)は地下鉄「14丁目ユニオンスクエア」駅でのパフォーマンスを企画。やはりフェイスブックを通じて参加者が集まり、駅の利用者からは「応援している」「気の毒に思っているよ」「日本が好きだ」。募金は半日で3千ドル(約24万円)を超えた。

 「ヘルプジャパン!」。同駅の上にあるユニオンスクエアでは13日、写真家新妻誠一さん(34)が被害を報じる新聞記事を掲げ、募金を呼び掛けた。取り組み始めた前日には通り掛かった日本人も相次いで合流。数百人が募金してくれた。

 新妻さんの父の実家は福島県いわき市。「まだ連絡が取れない親戚もいるらしい。避難しているだけだと思うのですが…」と話した。(共同)