ロシア正教の総本山でプーチン大統領を批判するパフォーマンスをして懲役2年の刑に服していた女性バンド「プッシー・ライオット(子猫の暴動)」のマリヤ・アリョーヒナ受刑者(25)が23日、恩赦で出所した。ナジェジダ・トロコンニコワ受刑者(24)も一両日中に出所するとみられる。

 来年2月にロシアのソチで開幕する冬季五輪に向けて、人権侵害への批判を緩和する措置の一環とみられる。マドンナさん、オノ・ヨーコさんら海外の著名な女性歌手や芸能人が2人の釈放を求める公開書簡を発表するなどしていた。

 「プッシー・ライオット」のメンバーら4人は2012年2月、モスクワの救世主キリスト大寺院で覆面をして「マリア様、プーチンを追い出して」との歌を歌い、アリョーヒナさんら2人が実刑判決を受けた。

 大統領のほか、政権と密接な関係にある正教会を侮辱したことが猶予判決とならなかった理由とみられ、ロシア国外では2人を「政治犯」とみなして救済を求める声が高まっていた。

 恩赦はプーチン大統領が憲法採択20周年で提案、下院が決議を採択して発効した。2万数千人が対象で、昨年の大規模な反政権街頭デモに参加し、逮捕された市民のうち数人も釈放される見通し。今月20日に釈放された元石油大手ユコス(破産)社長ホドルコフスキー氏の恩赦は、憲法とは無関係とみられる。