結成約5年の秋葉原のオタク系アイドルが、アジアへ向けて「日本文化」を発信した。

 日中韓3カ国が進める文化交流事業「東アジア文化都市」の広報親善大使を務める6人組アイドルグループ、でんぱ組.inc(以下=でんぱ組)が13日夜、中国・福建省泉州市の泉州演劇場で開催された「2014泉州活動年開幕式」に日本代表として出席した。

 中国、韓国の伝統舞踊などの演目が終わり、でんぱ組は大トリで出演。会場は1000人以上の政府関係者や報道陣50社以上が集結し、緊張感に包まれた。

 男性司会者が「次は、日本のアイドルでコスプレーヤーの登場です」と紹介すると、来場者はデジタルカメラをステージに向けた。中には緑や赤のサイリウムを振る人もいて、演劇場がライブ会場の雰囲気へと一瞬で変わった。

 1曲目の「でんでんぱっしょん」を歌唱後、メンバーが中国語で「東アジア文化都市広報親善大使のでんぱ組.incです。今日は皆さんに会えてうれしいです」とあいさつすると、この日最大の拍手が送られた。中国語は地域によって発音が異なるため、夢眠ねむは「拍手のおかけで、緊張が安心に変わりました。言葉が伝わったと思いました」と安堵(あんど)した。しかし、“パンダマニア”の藤咲彩音は左手にカンペを書いていたが、「緊張し過ぎて、かんじゃいました」と悔しがっていた。

 MC終了後には「くちづけキボンヌ」など計2曲を披露。古川未鈴は「初めて聞く音楽だと思うけど、皆さんが笑顔で聞いてくれたのでやり切った感はあります」と充実した表情を見せた。

 客席では、横浜市の渡辺巧教(かつのり)副市長らも見守っていた。でんぱ組の大ファンの会社員、顔易さん(20=イエン・メー)はねむカラーの緑色パーカーを着て来場した。「中国ででんぱ組に会えるとは思いませんでした。奇跡です…。次は私が日本へ行きます」と号泣した。

 また、同日午前はリハーサル終了後に泉州市内を回った。686年に建設された開元寺や、清源山(標高495メートル)にある老子をモデルにした老君岩などを見学し、中国の歴史を学んだ。最上もがは「街も発展していて自然も豊かで、心が落ち着きました。早く(泉州市が福建省のため)ウーロン茶も飲みたい」。リーダーの相沢梨紗は「次はぜひ、私たちが横浜や秋葉原を案内したいですね」と話した。

 東アジア文化都市は今年1月から11月まで横浜市、中国・泉州市、韓国・光州広域市の3都市で行う文化交流事業。3都市ではさまざまな文化芸術行事を連携して開催し、相互理解を図る。でんぱ組は昨年12月に08年の結成以降、日本文化を世界に広め、国際的に活動していることが文化庁や横浜市に認められ、同事業の広報親善大使に就任した。

 今月25日には、パシフィコ横浜(横浜市)でオープニング式典が行われる。次はでんぱ組が“ホーム”でおもてなしをする。