故やしきたかじんさん(享年64)の長女が、たかじんさんの晩年をつづった百田尚樹氏のノンフィクション「殉愛」について、幻冬舎に出版差し止めなどを求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が21日、東京地裁で行われ、同書物の中で、数億円規模の寄付申し入れを受けている大阪市の橋下徹市長(45)が、大阪市内で取材にこたえた。

 寄付については、昨年11月の出版当時は「法的な不整備」を理由に保留し、事実上の受け取り拒否の意向を示していた。しかし、この日は、寄付受け入れへ再検討していることを明らかにした。

 「たかじんさんの最後の遺志が、きちっと反映できるようにしたいと思っている。でも、いろんな法的な問題があるので、いくつか論点を指摘してきましたので、関係者、代理人としっかり協議をするように(担当部局に)伝えています」

 橋下氏は、大阪の活性化を望んだたかじんさんの意向を最大限、くめるように考慮しているという。一方で、差し止め訴訟への感想には「市長の立場としては言えない」とした。

 たかじんさんは生前、橋下市長に大阪再建を期待し、ウメキタ(大阪中心部の梅田北部)の緑化と、同所から関西空港への直結アクセスの強化、カジノ誘致などの意見を出していた。

 橋下氏も、これにこたえて着々と“遺言”を実行している。関係者によると、大阪市への寄付額は数億円規模といわれ、たかじんさんは、ほかにも、母校の桃山学院高校(大阪市)に1億円、発起人となって設立した「OSAKAあかるクラブ」に2億円を寄付。両者はそれぞれ昨年12月25日、同24日付で、公式ホームページに寄付を受領したことを報告している。