歌舞伎役者の片岡仁左衛門(70)が28日、京都市内でシネマ歌舞伎「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」初日舞台あいさつに登場した。

 同日に東京では長男孝太郎(46)、孫千之助(14)が舞台あいさつを行った。

 近松門左衛門が1709年に書き下ろした世話浄瑠璃。金に困って同業のお吉を殺してしまう主人公河内屋与兵衛は、仁左衛門の当たり役と言われる。同作では、親子三代で共演した2009年6月の歌舞伎座公演を映像化。仁左衛門は「ありがたいことに、せがれの孝太郎、孫の千之助、3代そろって舞台に出られた。非常にいい思い出でしたね」と当時を振り返った。

 舞台の映画化について仁左衛門は「生(の舞台)を見ていただきたい」と当初は懐疑的だったという。「与兵衛に関して1番つらいのは(アップで自分の)シワが大きく写るんです」と笑わせた。

 だが、今は「皆様が楽しんでくださる。そして『また生で見よう』と思ってくださる方が増える。歌舞伎の発展にはいいことですね」と期待もしているという。「歌舞伎を見たことない方も映画に誘っていただいて、引っ張り込んでください」と観客に呼びかけていた。