50センチ以上もある黒髪が魅力の女優栗山千明(23)が、初舞台でツルツル頭を初披露する。井上ひさし氏作、蜷川幸雄氏演出の舞台「道元の冒険」(7月7~28日、東京・渋谷のシアターコクーン)で、劇中劇として主演阿部寛演じる道元(曹洞宗開祖)の少年時代役を演じる。

 栗山は「男の子にあこがれていた私にとって『少年』というのは願ったりかなったりで楽しみです」。初舞台の緊張よりも、カツラとはいえ落髪する喜びの方が先に立つ。自分のツルツル頭を鏡で見ながら「かなり気に入っています。頭の形が思いっきり出るので、自分の頭はこんな感じなんだなあと思った。イメージ通りです」とニンマリ。

 蜷川氏は03年公開の映画「キル・ビル」を見て以来、栗山に注目。同じ美人女優で、テレビドラマ「西遊記」の三蔵法師役で頭を丸めた夏目雅子さんと栗山がダブるという。「僕は以前、夏目さんと仕事をしたことがあるのですが、美しい女優さんというのは、自分を変えることに強い欲求があるのだ、新しい自分を発見したいのだ、という印象を受けました。栗山さんにも同じエネルギーを感じます」。最大限の期待を隠さず、その上で課題も与える。「今回の舞台はチームワークの仕事。栗山さんには得難い個性を主張しつつ、全体への調和という課題を渡したい」。厳しい演出で知られる蜷川流でビシビシ鍛えるつもりだ。「課題を乗り越えると、きっと新しい栗山さんに出会えるのではと期待しています」。

 「道元―」は71年の初演。翌年に岸田国士戯曲賞、芸術選奨新人賞を受賞した井上氏の初期の傑作。道元の宗教家としての苦悩やおごり、人間性の暗部を描きながら人間社会そのものの「表と裏」を照らし出す。出演者が1人で何役もこなすのが特徴で、栗山も4役を演じ分ける。北村有起哉、横山めぐみらが共演。