渡哲也初医師役、妻にがん告知できず苦悩
俳優渡哲也(66)が初の医師役に挑戦し、がん告知をめぐって苦悩する男を演じることが4日、発表された。テレビ朝日系スペシャルドラマ「告知せず」(年内放送予定)に外科医の役で主演し、小腸がんが見つかった妻と向き合う物語。91年に直腸がんを患い、身をもって告知される側の気持ちを知る渡が、がん告知の現実を表現する。渡の長男を滝沢秀明(26)、妻を高畑淳子(53)が演じる。
渡ふんする呼吸器外科医の長谷川誠至は、がんを告知した上で患者とともに闘うことを信条としている。そんな毅然(きぜん)とした医師にある日、迷いが生じた。妻十央子(とおこ=高畑)の小腸に末期がんが発見されたのだ。最愛の人に病名をどう告げようか、それとも事実を隠して最期を待つか。医師、夫として悩み、崩壊していく家族のきずなを描き出す。
告知をめぐる葛藤(かっとう)を渡は知っている。17年前に直腸がんの告知を受け、生還した1人だからだ。91年5月8日、定期健診で直腸に悪性腫瘍(しゅよう)が見つかった。翌6月2日に石原プロ小林正彦専務から病名を告知され、苦悩の日々が始まった。渡は「昔は、がんと死がイコールに近かったですから。昼はいろんな方が見舞いに来てくれて大丈夫だったんですが、夜になるとね…。『このまま朝を迎えないんじゃないか』って不安になって、答えのない自問自答を何度も繰り返しました」と、当時の心の揺れ動きを今でも覚えている。
劇中で告知するのか、しないのか。物語の鍵を握る決断は放送まで明かさないが、私生活に置き換えた時の答えは決まっているという。渡は「例えば、私の妻ががんになったとする。治せるものなら、伝えて一緒に頑張ります。けれど、ステージ4(末期がん)だったら言いませんね」。告知されずに逝った男の姿も見てきた。87年に肝細胞がんで亡くなった石原裕次郎さん(享年52)。周囲の気遣いで最期まで病名を知らされなかったが、それも1つの答えだと思っている。
体調不良に気付きながらも、妻として明るく気丈に振る舞う高畑も意欲を見せている。「病気というのは自分と縁遠いと思っていても突然やってくるもの。そういう現実の中で『こうありたいな』という家族のあり方を示しています。脚本には本当に泣きました。私が感じたものと同じものが届くように演じたい」。
撮影は先月26日に山梨県内でスタート。実際に稼働している総合病院の中で今月末まで行われ、渡は本格的な手術シーンに挑戦。海外ロケも予定されている。
[2008年8月5日7時36分 紙面から]
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