昨年10月に東京都台東区の路上でひき逃げしたとして、自動車運転過失傷害と道交法違反の罪に問われた俳優清水健太郎(本名・園田厳)被告(56)の初公判が14日、東京地裁(秋吉淳一郎裁判官)で行われた。清水被告は起訴事実を認め、婚約者(36)が情状証人として証言台に立ち近く結婚することが明らかになった。検察は「卑劣なひき逃げ」として懲役10月を求刑した。判決は28日。

 清水被告は黒のスーツ姿で法廷に立ち「間違いありません」と起訴事実を全面的に認めた。検察の冒頭陳述によると、清水被告は昨年10月27日、婚約者名義のセルシオで知人を乗せて運転中、交差点を左折する際に自転車の男性会社員と衝突。男性はボンネットに跳ね上げられたあと、地面に落ち、腰などに全治10日の打撲を負った。清水被告は「復帰の仕事がキャンセルになると迷惑がかかる。マスコミに、おもしろおかしく書かれてしまう」と思い、男性を救護せずにそのまま逃走した。

 また、検察は清水被告が20歳だった73年、運転中に当時23歳の女性を死亡させ、業務上過失致死で罰金刑になっていた前科にも触れ、清水被告が逃走する際に「20歳のことを瞬間的に思い出した」と供述していたことも明かした。清水被告は「瞬間的な判断力の欠如、思いやりのなさを反省している。一番大切なのは被害者を救うことだった」と話した。

 情状証人として、6年前から交際する婚約者のYさんが証言台に立った。Yさんは現在、清水被告と同居中で、保釈保証金300万円を用意した。Yさんは「(結婚の)話はしています。私にとって必要な人。(清水を)変えるようにやっていく。私の気持ちは変わらない。罰金の判決をいただきたい」と訴えた。Yさんは結婚前提の交際で、昨年仕事をやめている。

 清水被告も「結婚する予定です」と話し、事件について「自分の行為はあまりにも情けない。恥じている」と反省の気持ちを吐露した。検察は「自分の都合を優先させた卑劣なひき逃げ」と、懲役10月を求刑した。弁護側は、判決までに示談を成立させたい意向を示している。清水被告は85年に米モデルと結婚し91年に離婚。02年に22歳年下の女優と再婚したが04年に離婚している。

 [2009年1月15日7時31分

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