【ロサンゼルス10日(日本時間11日)=千歳香奈子通信員】マラソンとヨットによる世界1周「アースマラソン」に挑戦中のお笑いタレント間寛平(59)が、太平洋を横断して、ロサンゼルス郊外ロングビーチのアラミトス・ベイ・マリーナに着港した。元日に千葉・鴨川港を出港して70日目。光代夫人らの出迎えに、感激でむせび泣いたが、挑戦はまだ4分の1を過ぎたばかりだ。

 寛平が赤ちゃんのように泣きじゃくった。エオラス号を入港させると、約100人の在米邦人の中に交じった光代夫人を見つけた。言葉にならないおえつと、涙が止まらない。北米大陸の地を踏んで取材陣らに囲まれても、真っ先に「光代~!」と叫んだ。航海中、心が折れないようにと、あえて連絡を絶っていた愛妻を、人目はばからず抱き寄せた。

 70日間1万2710キロの航海は、サハラ砂漠なども走ってきた寛平にとっても、勝手が違う苦難の道のりだった。「嵐の中で船がこけると、壊れると思った。なぎのときに全然進まなかったことが一番つらかった」と振り返った。

 初代マネジャーで、大学時代にヨット部だったパートナー比企啓之さんと2人きりの船内で、けんかもたくさんした。比企さんは「寛平さんが2回くらいストライキを起こしました。『精神的にもおかしくなっているから、もうやめさせてもらう。ロスに着いたら発表するわ』と」と、笑いながら明かした。到着前日にも海上で4時間話し合い「頑張りましょう」と誓い合った。

 太平洋横断の偉業も、2年半、約4万キロを予定する世界1周では序盤の通過点にすぎない。身体検査をして3日後には、ニューヨークを目指してマラソンをスタートさせる。船内で「スクワットを1日1万回はやったかな」と言うが、2カ月半のヨット生活で、自慢の足は弱ってしまった。代わりに「上半身は筋肉がついた。腹筋ばかりして、おなか割れました。ほかにやることがなかった」と苦笑い。「時間もないので、とにかく歩くことから始めていく」と、慣らし走行からペースを上げていく。

 ただ、今だけは次なる約4550キロの米国大陸横断を忘れたい。光代さんを伴って、直行したのは風呂と焼き肉店。ビールをグイッと飲み干し、新鮮なレバ刺しをほおばると、日焼けした顔に、笑みをたたえた。

 [2009年3月12日8時28分

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