落語家林家三平(39)が11月20日に中国・上海で上海国際芸術祭の正式参加公演として襲名披露落語会を行うことが12日、分かった。昨年3月から続く2代目林家三平襲名披露落語会の最後を飾るもので、海外で襲名披露を行うのは落語界で初めてとなる。

 上海在住の日本人会から三平側に襲名披露落語会開催の依頼があり、上海の日本総領事館も協力してトントン拍子で決まった。三平、兄の林家正蔵、動物ものまねの江戸家猫八のほか、一門の種平、錦平、たこ平、曲ごまの三増紋之助が参加し、襲名披露口上も行う。三平は「決まった時は背中に電気が走るほどうれしかった。海外で襲名披露の最後を飾ることができるなんて落語家冥利(みょうり)に尽きます」と喜んだ。

 三平は05年から中国語を勉強し始め、「時そば」など4つの中国語落語のネタを持ち、06年と07年にアモイ、青島で中国語落語公演も行った。今回は中国語による小話の後に日本語で人情噺「浜野矩随」を演じる。三平は「日本語を勉強している人のために今回は日本語でやります。親子のきずなを描いた演目で、中国の方にも受け入れてもらえると思います」。

 落語会を行う劇場は上海中心部にある蘭心大戯院。19世紀末に建てられた洋館風外観で、今年6月に坂東玉三郎主演の昆劇「牡丹亭」が上演された由緒ある劇場だ。上海万博と連動した上海国際芸術祭の最後をしめくくる公演ともなり、中国側の注目度も高い。

 尖閣諸島周辺の漁船衝突事件の影響でSMAPが上海公演を延期するなどさまざまな余波が広がったが、三平は「そういう時だからこそ、笑いで友好を深めたい。できれば今後も上海で落語会を続けられればと思います。今度やる時は中国語落語をやりたい」と話した。【林尚之】

 [2010年10月13日8時18分

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