桑田佳祐、福山雅治らが所属する大手芸能プロ「アミューズ」元会長で最高顧問の大里洋吉さん(64)が演出する浅草レビュー劇団虎姫一座「エノケン、笠置のヒットソングレビュー」が東京・浅草のまねきねこ館でロングランしている。名前を出しての演出は初めてだが「浅草をかつてのような劇場街にしたい。その呼び水になれば」と浅草再興の夢を語った。

 カラオケ居酒屋のホールで懐かしの昭和歌謡レビューが展開する。喜劇王エノケンこと榎本健一の「東京節」、ブギの女王笠置シヅ子の「東京ブギウギ」などヒット曲オンパレードに踊りあり、笑いありの1時間。企画演出した「アミューズ」創業者の大里さんは昨年11月、浅草に衣装や古民具を展示する「アミューズ・ミュージアム」を開館し、今度はレビューを3月までロングランしている。

 大里さん

 浅草で最初に見たのは大宮デン助劇場。当時は劇場がいっぱいあった。浅草に劇場街、娯楽の殿堂を復活させたいですね。今回のレビューは高齢者の人が楽しめるものが少ないと思って作ったけれど、若い世代の人も見てくれたらうれしいです。

 大里さんは渡辺プロのマネジャーを経て「アミューズ」を設立した。桑田、福山ら数多くのアーティスト、俳優、タレントを育て、大手芸能プロに成長させた。そして会長を退任し、最高顧問に就任している現在、取り組んでいるのが浅草再興だ。「僕はコンテンツを作るのが仕事。だから、お金を持っている人たちに『浅草で劇場経営をしませんか』と説得しているところです」。

 レビューには9人の男女が出演しているが、大里さんは「2つのカンパニーを作り、メンバーを入れ替えながらクオリティーを保っていきたい。できれば、浅草からスターも育てたい」と話す。12年には東京スカイツリーが開業して、浅草の観光客もさらに増える見込みだ。「それまでにエンターテインメントのコンテンツをたくさん作り、外国のものも持ってきたい。時間はかかるかもしれないが、ライブのものを見るなら浅草でという時代にしたい」と話していた。【林尚之】

 [2010年12月30日9時17分

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