女優宮沢りえ(38)が、来年1月に主演舞台「下谷万年町物語」(東京・シアターコクーン)で演出家蜷川幸雄氏と初タッグを組むことが17日、明らかになった。唐十郎氏と蜷川氏のコンビで81年に大ヒットした作品の再演で、100人のおかまを従える男装の麗人を演じる。スパルタで知られる蜷川演出に「たくさんのゲキ飛ばしていただきたい」と話している。

 蜷川演出初参加に宮沢は「大きな挑戦ですので、ぜひともたくさんのゲキを飛ばしていただき、目からうろこを飛び出しまくりたいと思っています」。大好きな唐十郎氏の戯曲であることにも背中を押された。「飛躍していく言葉とからみ合う心に心臓をつかまれました」。一方の蜷川氏も「ずっと一緒に仕事をしたかった。野田秀樹さんの作品にばかり出演して実は嫉妬していたので、今回出てくれて本当にうれしい」と話している。

 物語は、唐十郎氏が幼年期を過ごした浅草下谷万年町を舞台にした悲喜劇。100人の男娼(だんしょう)がステージにひしめき、舞台に設置した池で出演者がずぶぬれになるなどのエネルギッシュな演出で“伝説の舞台”とされてきた。宮沢は、おかま軍団を率いてレビュー小屋を立ち上げるダンサー、キティを演じる。白タキシード姿の男装の麗人で、池の底から引き上げられる登場シーンは話題となりそうだ。宮沢は「歌あり男装あり、池からの登場と胸いっぱいに不安と期待がからみ合っています」という。

 キティが探す謎の青年・洋一を藤原竜也(29)、物語の語り部となる少年役を人気ユニットAAA(トリプルエー)の西島隆弘(24)がそれぞれ演じる。初演の洋一役は、当時新人だった渡辺謙が抜てきされ、注目を集めた。藤原は「蜷川さんの演出は何度経験してもやはり厳しいので、新しい気持ちで頑張ります。蜷川さん、宮沢さんの初組み合わせに参加できてうれしいです」。宮沢は「大きな大きな挑戦の渦に、心熱い竜也君と多くのキャストと飛び込めるのは、心強くうれしい」と話す。

 蜷川氏は「いいキャスティングが組めずに再演が実現しなかった作品。今回は最高のキャストを得て大満足です」。宮沢は「未知との出会い!

 蜷川色に染まれることを思いっきり楽しみたい」と話している。

 ◆下谷万年町物語

 昭和23年、下谷万年町に現れた男装の麗人キティと、彼女が旗揚げしたレビュー小屋「サフラン座」の面々をめぐる物語。男娼グループの抗争、警視総監暴行事件、悲しくもみじめなキティの過去などそれぞれの物語が瓢箪(ひょうたん)池で交錯する。81年、西武劇場(現パルコ劇場)で初演。初演キャストは李麗仙、渡辺謙ら。来年1月6日~2月12日まで上演。