みずみずしい芸風で、娘役などを得意とした歌舞伎女形で人間国宝の中村雀右衛門(なかむら・じゃくえもん)さん(本名・青木清治=あおき・きよはる)が23日午後3時55分、肺炎のため東京都中央区の聖路加国際病院で死去した。91歳。東京都出身。葬儀・告別式の日取り、喪主などは未定。

 1927年(昭2)に初舞台。48年、7代目大谷友右衛門、64年に4代目中村雀右衛門を襲名した。50年に「佐々木小次郎」で映画デビューしたが、55年から歌舞伎界に復帰。「京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)」の白拍子花子などで、つややかな女形芸を見せた。91年に人間国宝、2004年に文化勲章を受章。日本俳優協会会長、伝統歌舞伎保存会会長などを歴任し、歌舞伎界の第一人者として技能向上などに尽力した。

 最後の舞台は10年1月歌舞伎座の「春の寿」の女帝で1月19日の1日だけ出演した。当時、すでに入退院を繰り返しており、最後の舞台には病院から駆けつけた。長男は8代目大谷友右衛門、次男は7代目中村芝雀。