大竹しのぶ(54)藤原竜也(30)が井上ひさし作、蜷川幸雄演出の舞台「日の浦姫物語」(11月10日~12月2日、東京・渋谷シアターコクーン)でダブル主演することが16日、分かった。「日の浦姫物語」は近親相姦(そうかん)というタブーを描き、78年に文学座が杉村春子さん(故人)主演で上演した。その後は再演されず幻の作品といわれ、34年ぶりの上演となる。

 説教聖と三味線弾き女が語る「日の浦姫物語」の説教。舞台は平安時代の奥州・米田庄で、美しい双子、稲若と日の浦姫は15歳の夏、父が亡くなった日に2人はタブーを犯して結ばれる。日の浦姫は身ごもるが、引き離され、赤子(魚名)も舟で流される。18年後、孤児の魚名は両親を捜す旅に出て、米田庄で出会った日の浦姫と恋に落ち、夫婦となって子を授かる。しかし、2人は後に母子と分かり、ともに自らを罰するため目を突く。再び離れ離れとなり、物語は18年後に飛ぶ。一大絵巻のような展開で、大竹は杉村さんが演じた日の浦姫、藤原は稲若と魚名の2役を演じる。

 演技派として活躍する2人だが、共演は初。藤原は「尊敬して大好きなしのぶさんと、テレビでも映画でもなく、舞台で初共演できるのはうれしいです。しのぶさんのパワーにどっぷりつかって演劇人としても人としても成長できれば」と話している。これまでの井上作品では、藤原は「ムサシ」「黙阿弥オペラ」、大竹が「太鼓たたいて笛ふいて」に主演。大竹は「井上さんに『いい芝居ですね~』って笑って喜んでいただけるよう頑張ります」と目標を掲げた。2人それぞれと数多くの舞台を手掛けてきた蜷川氏も「大竹さん、藤原くんが姉弟という異色のキャスティング。果たしてどんな姉弟愛を見せてくれるのか、今からドキドキして楽しみです」と期待している。