俳優田村正和(69)と女優仲間由紀恵(33)が来春放送予定のテレビ朝日開局55周年記念ドラマスペシャル「上意討ち~拝領妻始末」で共演することが19日、分かった。サッポロビールのCMではコミカルなやりとりを見せている2人だが、ドラマでの共演は初。理不尽な仕打ちに立ち向かい、お上に反旗を翻す父と義娘を演じる。

 共演は主演の田村のオファーで実現した。本作のヒロイン“いち”は、江戸時代に藩主や大名の側室を家臣にめとらせる「拝領妻」として過酷な運命に翻弄(ほんろう)されながらも、優しさと心の強さを持ち合わせた女性として描かれる。田村はそんなヒロイン像に、NHK大河ドラマ「功名が辻」で時代劇の経験もあり、実力も高く評価されている仲間が重なったという。

 大先輩との共演に仲間は緊張しながらも、既に役に入り込んでいる。「田村さん演じる伊三郎は家族思いの優しい方。まるで伊三郎の愛に包まれながらお芝居をしているような気持ちになって、『辛抱しろよ』『負けるなよ』と声を掛けてくださるシーンでは、その言葉が胸に響いて涙が止まらなくなりました」。

 原作は時代小説家滝口康彦氏の「拝領妻始末」で、1967年(昭42)に三船敏郎主演で映画化もされた。その脚本を手掛けた橋本忍氏が今回自らの脚本をリメーク。時代劇ゆえに殺陣も見どころになり、田村も「武家社会の非情な扱いに反旗を翻す。そんな伊三郎の思いにはとても共感します。僕がこれまでやってきた殺陣は『眠狂四郎』に代表されるように流麗なものでしたが、今回は一太刀一太刀に伊三郎の怒りを込めた討ち合いにしたい」と話している。

 共演者も松平健、緒形直人らと、大型時代劇にふさわしい豪華な俳優陣をそろえる。

 ◆上意討ち~拝領妻始末

 会津松平藩士、笹原伊三郎(田村)の長男与五郎(緒形直人)のもとに、藩主松平正容(大杉漣)の側室、お市の方(仲間)が藩命により妻として拝領される。しかし、2年後、いちが正容の側室として産んだ男子が藩の世継ぎになることが決まり、生母であるいちを城に戻すよう命が下る。たびたびの理不尽な仕打ちに伊三郎親子は藩命に逆らう決意を固める。