ドラマ「三匹の侍」で知られる俳優の長門勇(ながと・いさむ)さん(本名・平賀湧=ひらが・いさむ)が4日、老衰のため神奈川県内の病院で亡くなった。81歳だった。一昨年、軽い脳梗塞を患った後も芸能活動を続けていたが、1カ月ほど前に体調を崩して入院していた。

 岡山県倉敷市出身の長門さんは地元の高校を中退後上京し、16歳から東京・浅草小劇場、ロック座、フランス座などでコメディアンとして舞台に立ち、軽妙な演技を身につけた。テレビ進出は、27歳のテレビ朝日(当時NET)系「デン助劇場」(59年)。2年後にはTBS系「スチャラカ社員」の部長役が注目された。困ったときの自分の口癖だった岡山弁の「おえりゃあせんのう」(『ダメだなあ』の意)をセリフに生かし、流行語にもなった。

 テレビ進出4年目のフジテレビ系「三匹の侍」で、やりの達人を演じてブレーク。人がよく、とぼけた味わいの役作りは浅草仕込みだった。横溝正史原作のドラマにも多数出演、金田一耕助とコンビを組む警部役でコミカルな味を出した。

 NHK大河「武蔵

 MUSASHI」(03年)で宮本武蔵に助言する日観和尚を演じるなど、主演にからむ個性的な脇役として長らく存在感を示してきた。

 葬儀は近親者だけで営む予定で日取り、喪主は未定。

 ◆長門勇(ながと・いさむ)1932年(昭7)1月1日、岡山県生まれ。48年に高尾光子劇団に入団し、同年、浅草小劇場などでコメディアンとして活躍。その後、テレビに進出し、「スチャラカ社員」「三匹の侍」に出演したほか、76年NHK大河ドラマ「風と雲と虹と」、03年「武蔵

 MUSASHI」に出演。94年のNHK連続テレビ小説「春よ、来い」にも出演。