女優綿引さやか(27)が7月から東京・帝国劇場のミュージカル「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役に抜てきされる。

 長い道のりだった。中学2年の時に「レ・ミゼラブル」を見てエポニーヌ役に憧れた。大学では音楽学部に在籍し、数々の舞台オーディションに挑んだ。アン役で「赤毛のアン」などに出演したが、「レ・ミゼラブル」では落選が2回続いた。大学卒業と同時に「実力をつけたい」とニューヨークに渡り、演技、歌、ダンスを学んだ。昨年3度目の挑戦でアンサンブルでの出演が決まった。

 応募が1万5000人という難関とあって、綿引は「憧れの舞台に立てるとうれしかった」という。稽古に入った今年3月の再度のオーディションで、憧れのエポニーヌ役を滑り込みで勝ち取った。

 5月に始まった公演では笹本玲奈、平野綾、昆夏美が演じたが、綿引は「アンサンブルとして出演し、見えてきたものがいっぱいある。形にとらわれず、素直に正直に綿引にしかできないエポニーヌを演じたい」という。

 初登場は7月4日で、千秋楽まで5回の出演だが、その後の福岡、大阪、名古屋の公演では出番が増えるという。「第2の扉が開いた気がする。これまで何度も泣いてきたけど、時間かけてチャレンジしてきて、今がエポニーヌに出会う、いいタイミングなんだと思う。過去の自分に恥じないよう頑張ります」。【林尚之】

 ◆綿引(わたびき)さやか

 1986年(昭61)5月20日、東京都生まれ。フェリス女学院大音楽学部卒業。05年「赤毛のアン」にアン役、07年「サウンド・オブ・ミュージック」にリーズル役で出演。12年の初シングル「ワン・ワールド」が日本航空イメージソングに。160センチ。