バラエティー番組に引っ張りだこの女優平愛梨(28)が連続ドラマに初主演することが8日、分かった。NHKBS「黒猫、ときどき花屋」(火曜午後11時15分、10月1日スタート)で異色の純愛ストーリーに挑む。08年に引退を覚悟して臨んだ映画「20世紀少年」のオーディションでヒロイン役を射止め、撮影を通して得た新たな女優観やバラエティー出演で得た感覚を生かし、女優として飛躍を狙う。

 平は初の連続ドラマ主演に「私なんかでいいんでしょうか」と真顔で話す。愛くるしいルックスと天然ぶりのギャップもあって、最近は日本テレビ系「ヒルナンデス」などバラエティー番組での活躍が目立つ。「全国区の番組に出させていただき、兵庫の実家も喜んでおります」と喜ぶが、女優への憧れと夢も忘れていない。

 99年に芸能界入りしたが、なかなかブレークには至らなかった。08年に「これで不合格なら芸能界を辞める」という決意で映画「20世紀少年」のヒロインオーディションに参加。約3000人の中から選ばれ、女優として注目を浴びた。

 今回のドラマの台本を受け取って約1週間しかたっていないが、既にボロボロだった。「常に持ち歩いていないと怖い。1分たりとも無駄にしたくない」。コンビニとの往復で歩きながらでも読む。「最初から最後まで一気に読まないと気が済まない。夜にお風呂に入って気付いたら朝。以前は水が含んでシワシワになった手を病気かと思い、ハンドクリームを塗り続けた」。バスルームで6時間、読み続けたという。

 01年TBS系ドラマ「金八先生」で共演した上戸彩(27)から「書いて覚える」とセリフの覚え方も教わったが結局、「音読で頭にたたき込む」と自分流にたどり着いた。真剣に向き合う姿勢は「20世紀少年」出演で身についたものだ。

 バラエティー番組の経験もプラスになっている。「物事に対し一本調子ではなくなった。食べ物にも、より感謝するようになった。自分自身が感じて直接声に出して伝える作業は、女優ではなかったから。好奇心が出た」。

 「20世紀少年」のオーディションに落ちていたら、建設業を営む父親の影響もあり「大工さんになっていた」と言う。連ドラ初主演というチャンスを得た今の夢は「バラエティーも好きだけど、30歳までに『女優平愛梨』と思ってもらうこと」だという。【三須一紀】

 ◆平愛梨(たいら・あいり)1984年(昭59)12月12日、兵庫県生まれ。99年映画「ドリームメーカー」で女優デビュー。00年CD「wish」で歌手デビュー。01年TBS系「3年B組金八先生」でドラマデビュー。08年から映画「20世紀少年」シリーズに出演。フジテレビ系「もしもツアーズ」、日本テレビ系「ヒルナンデス!」に出演中。152センチ。血液型O。

 ◆「黒猫、ときどき花屋」

 日向清香(平愛梨)は夫(谷原章介)を不慮の事故で亡くし、悲しみに暮れる。あるきっかけから生花店兼カフェ「ネコノヒゲ」の臨時店長を任されることに。そこにいた黒猫に夫の魂が乗り移る。清香に思いを寄せるアルバイト店員(林遣人)と黒猫との三角関係から純愛ストーリーが生まれる。