女性向け官能マーケットが盛り上がっている。中心にいるのが「女性向けAV(アダルトビデオ)」男優人気NO・1の一徹(34)。取材を始めると、「女性が、性に対して肯定的になれる手助けができれば」と優しい目でほほ笑んだ。

 一徹フィーバーはすごい。女性ファッション誌やテレビなどで続々特集が組まれ、出演した女性向けAV作品は、業界で「大ヒット」とされる1本あたり1万数千本の売り上げを記録。ファンクラブもでき、イベントでは号泣する女性ファンが出ている。

 従来のAV男優イメージとは違う色白で癒やし系の甘いマスク。劇中でも、男性向けAVとは違い、多くの女性が性行為に求めているであろうプロセスや密着感を丁寧に演じている。女性向けAV男優は「エロメン」と呼ばれ、本人も「恐縮しますよ。エロメンですけど大丈夫ですか?

 って」と言うが、高い女性人気を得るのも納得だ。

 最近は、女性が手がける女性向けAVや小説、グッズなどが注目されている。一徹は、女性による女性のための官能小説レーベル「フルール」文庫(9月13日創刊)広報大使にも就任しており、「この傾向は大歓迎。自信がない男性は、女性に性に対しての貞淑さを求めていたと思う。でも、女性の性欲を肯定した上で、お互い話し合っていい着地点を見つけたほうが幸せだと思います。僕がそのきっかけになれればうれしいです」。

 経歴は異色だ。有名大法学部卒業後、公認会計士を目指したが挫折。「うまくいかなかったころ、男性向けAVのエキストラ男優募集を見て応募したのが業界入りのきっかけです」。イケメンで男性向けAV界でも需要は多かったが、08年、そのさわやかさに目を付け、オファーしてきた女性向けAV大手レーベル「SILK

 LABO」の専属男優に。09年7月発売「an・an」セックス特集付録DVDに出演し、人気に火が付いた。

 「性欲が旺盛だったのでオカネの出し入れをするよりも、ソッチの出し入れをしたくなっちゃった」

 下ネタもさく裂させたが、いやらしさを感じさせなかった。これが一徹の強みだろう。【広部玄】◆一徹(いってつ)

 1979年(昭54)2月21日、埼玉県生まれ。これまでAV34作品に出演。テレビではフジテレビ系「ノンストップ!」、TBS系「有吉ジャポン」などに出演。雑誌では「an・an」「CanCam」「ViVi」などに登場。174センチ、68キロ。