桐朋学園大の新垣(にいがき)隆講師(43)が6日、都内で会見し、全聾(ろう)の人気作曲家で「現代のベートーベン」と称されていた佐村河内(さむらごうち)守氏(50)のゴーストライターだったことを告白。18年間「共犯者だった」と謝罪した。

 佐村河内(さむらごうち)守氏(50)のゴーストライター問題は、CDの出荷停止やコンサートツアー中止など影響が拡大しており、今後、法的問題に発展する可能性が出てきた。

 ツアーを企画するサモンプロモーションには6日、「裏切られた」などの電話が数件寄せられた。同社は問題発覚後、15公演の中止を決定。これまで5000枚以上のチケットを販売し、被害総額は「億」に近い額になるという。「再来週ごろから、チケットの払い戻しに対応したい」という。佐村河内氏側への損害賠償請求も検討している。

 これまで、本人が何度か公演に訪れていたが、今月2日の岡山公演には来なかった。喜怒哀楽が激しく、公演への注文も多かったという。また、担当者の好き嫌いも訴え、同社側は手話を覚えるなどして向き合ってきた。担当者は「表に出て、謝ってもらいたい」と、怒りをあらわにした。

 すでにCD出荷やインターネット配信を停止した日本コロムビアには、6日までに約100件の問い合わせがあった。CDを返品したいという声が多いが、「頑張ってほしい」との声援もあった。損害賠償請求は現段階では未定という。

 日大名誉教授(刑法)の板倉宏氏は、「自分が作曲していると言いながらだまし、その商品を売り込んだことになる」とした上で、佐村河内氏が、詐欺罪や不正競争防止法違反などに問われる可能性を指摘した。詐欺罪の懲役刑は最長10年だが、複数の被害が認められれば併合罪となり、最長15年になるという。「情状も悪く、懲役3年の実刑判決の可能性もある。たちの悪いケース。あまり聞いたことがない」と話した。