「津軽海峡・冬景色」「天城越え」などのヒットがある演歌歌手石川さゆり(56)の新曲をシンガー・ソングライター椎名林檎(35)が作詞作曲し、プロデュースも手掛けるという異色のコラボレーションが実現することが27日、分かった。

 4月2日発売のシングル曲「暗夜の心中立て」とカップリングの「名うての泥棒猫」。「暗夜-」は全身全霊を込めて愛した男性への思いに身を焦がす女性の暗い情念を描き、「名うて-」は世間の中傷を聞き流す恋多き女性の信念を表現している。

 コラボのきっかけは、11年のNHK紅白歌合戦で共演したことだった。初対面だったが「いつか一緒に仕事をしたい」と意気投合。その後、椎名のことを「心に刺さる言葉とメロディーが大好き」と公言する石川が正式に楽曲制作を依頼。石川の、「西洋の絵画と日本の浮世絵が刺激し合って、新しい世界が生まれたような新曲を」という熱い思いに椎名が応えた。

 椎名が抱く、石川の印象は「平成の花魁(おいらん)」。この隠微で妖艶なイメージを丸ごと閉じこめたのが今回の2曲だ。CDのジャケット写真はまさに「平成の花魁」そのもの。椎名はレコーディングにも立ち会い、予定になかったコーラス参加も「名うて-」でしてみせた。

 73年にアイドル歌手としてデビューして41年。紅白に36回出場した歌謡界の新女王が「椎名ワールド」に見事に染まった。