俳優市村正親(65)が27日、早期の胃がんであること発表した。公開中のミュージカル「ミス・サイゴン」は、この日の出演を最後に休演。今後は入院して腹腔(ふくくう)鏡手術を受け、当面は治療に専念するとしている。6月下旬に受けた突然の診断とし、悔しさと謝罪のコメントも発表した。

 市村が病院からの検査結果を受け取り、自身の病を知ったのは、26日午前だった。翌27日の昼と夜、「ミス・サイゴン」の公演が終了した後、それぞれのキャストやスタッフに自身のがんについて報告。同ミュージカルを休演することを発表した。

 その後、所属事務所を通じて書面を報道各社に送付。「本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。俳優として一番悲しいことは、楽しみにしてくださるお客さまの前に立って舞台からごあいさつできないことであり、一番悔しいことは、ともに作品を作り上げるために稽古場で闘ったスタッフやキャストに迷惑をかけることです」とつづった。

 先月19日に都内で行われた公開稽古では元気な姿を見せていた。だが、同月下旬には体調不良を訴え、早期発見のきっかけになった。病院で急性胃炎と診断され一時入院。その際、「念のために」と受けた検査で胃に腫瘍が見つかった。病理検査を受け、約1カ月をへて、悪性と診断された。今後は約2週間入院し、腹腔鏡手術を受ける。退院後も、当面の間は自宅療養に入る。

 1992年(平4)の日本初演時から出演している「ミス・サイゴン」にかける思いは強い。この日も「私にとって俳優人生の転機となった作品です。『アメリカン・ドリーム』を歌う中で、私自身が大きな夢を見させていただきました」とコメント。「今の私の夢は、再びお客さまの前でこの曲を歌うことです」と宣言した。

 所属事務所によると、11月から東京・帝国劇場で公開予定のミュージカル「モーツァルト!」には出演予定という。

 ◆市村正親(いちむら・まさちか)本名同じ。1949年(昭24)1月28日、埼玉県川越市生まれ。73年、劇団四季「イエス・キリスト=スーパースター」で初舞台を踏む。90年の退団後も「ミス・サイゴン」や「スウィーニー・トッド」など舞台中心に活躍。84年女優八重沢真美と結婚し、03年に離婚。05年に女優篠原涼子と再婚し、08年5月に第1子の長男が誕生。07年に紫綬褒章受章。